2005 Fiscal Year Annual Research Report
姫川中流域における化学風化速度・土砂生産量の解明と土石流多発渓流の危険度評価
Project/Area Number |
16310126
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸井 英明 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (10219545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 直喜 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 講師 (60282977)
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Keywords | 化学風化作用 / 土砂生産 / 全イオン濃度 / 電気伝導度 / 水質分析 / 土質光学的特性 / シミュレーション / 土石流堆積範囲 |
Research Abstract |
姫川中流域の土石流多発渓流を対象として、化学風化作用の進行速度を推定し、土砂生産のポテンシャルの評価を試みた。 土砂生産の激しい傾斜地においては、化学風化作用が地すべり・崩壊・土石流等による土砂生産と密接な関係にあり、化学風化速度を土砂生産ポテンシャルの指標とすることができる。河川・渓流の流水に溶存するイオンは傾斜地を構成する岩石から溶解した成分であり、全イオン濃度は化学風化速度と密接な関係にある。各集水域毎の化学風化作用の進行状況を評価するために、水質分析による検討を行った。すなわち、姫川中流域の主要な河川・渓流において、現地で水温、電気伝導度、pHを測定すると共に、採水し主要イオン(Na^+,K^+,Mg^<2+>,Cl^-,NO_3^-,SO_4^<2->)の分析を行った。電気伝導度は溶存している全イオン濃度と良い相関がある。したがって、電気伝導度は流域の化学風化作用の進行状況を反映する。主要な検討結果は以下のように要約される。 (1)溶存イオン成分を詳細に検討した結果、当該流域における河川・渓流の流水の水質は主として重炭酸型と硫酸型に大別された。重炭酸型の水質は、CO^2ガスが水に溶解して形成された炭酸起源であり、硫酸型の水質は、黄鉄鉱あるいは硫化水素ガス・硫酸ガスの酸化・溶解によって形成された硫酸起源である。炭酸に比して硫酸による岩石の溶解速度は著しく大きい。 (2)浦川上流域右支川金山沢の水は他の河川・渓流の水と比べて電気伝導度や全イオン濃度が著しく高く、流域の化学風化作用がかなり進行していることが判明した。これは、黄鉄鉱の酸化によって生成した硫酸が岩石や崩積土を溶解することに起因すると考えられる。 (3)硫酸成分に富む水は、殆どが地すべり地内に分布する。本地域に見られる硫酸型の水が黄鉄鉱の酸化によるものか、硫化水素ガス・硫酸ガスの酸化によるものかは現在のところ定かではない。 (4)水質調査は当該流域における地下の地質情報や化学風化作用の進行状況を把握する上で有効であることが示された。 地形形状並びに土質力学的データの解析に基づき、土石流危険度の評価を試みた。 (5)蒲原沢流域を対象として崩壊堆積物並びに土石流堆積物の土質工学的特性を詳細に調べ、土石流発生のプロセスを検討した。 (6)既往災害発生時の雨量を想定し、ランダムウオークモデルを用いて土石流堆積範囲のシミュレーションを行い防災施設の効果を視覚的に評価した。
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Research Products
(7 results)