2006 Fiscal Year Annual Research Report
寄生原虫の全長cDNAライブラリを用いた遺伝子発現制御機構の比較生物学的研究
Project/Area Number |
16310132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 純一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20201189)
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Keywords | 全長cDNA / 寄生原虫 / 遺伝子発現制御 / 比較ゲノム |
Research Abstract |
遺伝子発現制御機構の解明は、ポストゲノム時代の最重要課題のひとつである。医学的重要性のためにゲノム解読が進んでいるトキソプラズマ原虫は、本分野の研究に好適なモデルである。我々は、oligo-cap法で作成した全長cDNAライブラリを用いて転写開始点の上流に位置する遺伝子発現制御領域の塩基配列解析を行い興味深い結果を得た。 トキソプラズマ原虫のtachyzoiteから作成した全長cDNAライブラリから、約1万クローンの5 '端ワンパスシークエンスを行い、ゲノム上にマップした。独立クローン1018個について、primer walking法によってクローンの全長シークエンスを決定した。これらのクローンの転写開始点の上流領域の塩基配列を拾集し、複数の解析プログラムで分析したところ、共通して存在する保存性の高いモチーフが発見された。6塩基からなるモチーフは、パリンドローム構造を有し、TATA boxなどの既知のものと異なっていた。本モチーフは、ゲノム塩基配列全体では、およそ、35%の遺伝子の上流領域に認められた。 また、全長遺伝子配列を利用して染色体IaとIbのSNPを解析した結果、トキソプラズマ原虫では、Ia染色体上のSNPは、その他の染色体と比較して非常に少ないことが明らかになった。これは、本原虫が、無性生殖によるクローナルな増殖によって個体数を増やした証拠である。ゲノム解析が寄生原虫の特異な進化過程を解明した例である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Common inheritance of chromosome Ia associated with clonal expansion of Toxoplasma gondii.2006
Author(s)
Khan A, Bohme U, Kelly KA, Adlem E, Brooks K, Simmonds M, Mungall K, Quail MA, Arrowsith C, Chillingworth T, Churcher C, Harris D, Collins M, Fosker N, Fraser A, Hance Z, Jagels K, Moule S, Murphy L, O'Nel S, Rajandream MA, Saunders D, Seeger K, Whitehead S, Mayr T, Xuan X, Watanabe J, Suzuki Y, Wakaguri H, Mackey AJ, Roos DS, Hall N, Berriman M, Barrell B, Sibley LD, Ajioka JW.
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Journal Title
Genome Res. 16(9)
Pages: 1119-25