2005 Fiscal Year Annual Research Report
バラ花弁におけるフェニルエタノイドシステムの明暗応答
Project/Area Number |
16310149
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正和 静岡大学, 農学部, 教授 (10293614)
|
Keywords | 2-フェニルエタノール / フェニルアセトアルデヒド / デカルボキシラーゼ / 生合成 / バラ花弁 / 明暗応答 |
Research Abstract |
花の香気生成・発散における分子機構に関わる低分子、および生合成酵素群が、植物が受ける明暗条件によって著しくその生体内レベル、活性を変動させることを研究代表者らは見出してきた。本研究では特に、バラの主要香気成分である2-フェニルエタノール(1)とそのβ-グルコピラノシド(2)の生合成経路を明らかにし、ここに関わる低分子、酵素、遺伝子群:フェニルエタノイドシステムを解明し、これらに及ぼす光の影響を詳細に検討する事を目的として研究を展開している。本年度の研究により、以下の成果が得られた。 1.L-フェニルアラニンを基質とするPLP依存性デカルボキシラーゼの解明:1の生合成前駆体であるL-フェニルアラニンからフェニルアセトアルデヒドを生成する酵素遺伝子のクローニングに成功し、本遺伝子の大腸菌発現酵素およびバラ花弁酵素の詳細な反応経路を明らかにした。この酵素は、従来知られていた植物起源デカルボキシラーゼとはその反応経路を異にする新たな酵素であることがわかった(H18.1.19特許出願中)。 2.アルコールデヒドロゲナーゼ、β-グルコシダーゼの部分精製:バラ花弁から2種の酵素の部分精製に成功した。特に、β-グルコシダーゼに関しては部分加水分解後、TOF-MS/MSによりアミノ酸配列の解明を試み、MASCOT検索したが、既存のβ-グルコシダーゼの保存配列にはヒットせず、現時点では未同定である。 3.バラ花弁を用いた香気発散に対する明暗応答:無傷バラを用いた香気の発散実験では、花の大きさ、時期等により、発散量が異なる。これを解決すべく、花弁を水に浮かべ、香気成分発散における変動を追究した。花弁だけでも明暗に応答した規則的な発散リズムを確認した。今後、発散、生合成の制御機構解明に活用する。
|
Research Products
(4 results)