2005 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル効雑群に関する総合的研究
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16310156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
室山 泰之 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70314242)
濱田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
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Keywords | タイワンザル / ニホンザル / 交雑 / 和歌山県 / NRAMP1 / 個体群動態 / 増加率 / 拡散 |
Research Abstract |
今年度は(1)骨格標本等の資料化、(2)遺伝子標識の開発と交雑評価、(3)個体群パラメータの推定、(4)ウィルス抗体保有率等の病理学的分析、(5)拡散個体のモニタリングに向けた予備的分析、を重点的におこなった。また、国内外の学会、シンポジウムにおいてこれまでの研究成果を発表し、中間的なまとめと公表に努めた。 和歌山県の事業で安楽殺処置をうけた個体のほぼ全頭を回収し、昨年度につづいて身体計測、病理学的解剖をおこない、骨格標本や精巣標本を作成した。また、個体のウィルス学的検査や遺伝学的分析を行うため、血液試料も採取した。 核DNAにみられる種特異的変異を利用して交雑状況を評価するため、NRAMP1 (natural resistance-associated macrophage protein 1)の第5イントロン内にある種間変異を同定し、交雑度評価に利用した結果を論文として公表した。また、和歌山県の交雑事例と比較するため、青森県で生じたタイワンザル交雑群を調査し、分析結果を論文公表した。青森県の事例では、和歌山県と同様に長期間ニホンザルと接触する機会があったにもかかわらず、まったく対照的にほとんど交雑が進んでいないことが明らかになった。両者のちがいを生じた原因としては、自然環境のちがい、周辺のニホンザル分布状況のちがい、餌付けの有無、の可能性が考えられる。 生態学的研究では昨年度のセンサス結果、近年の除去統計を解析して個体群動態を検討し今後の変動を予測した。年当たりの増加率は14パーセントと高い推定値となり、異種間の交雑で生じた個体群は高い繁殖性を維持しており、除去事業を停止した場合には急激な個体数回復が起きると予想できた。 拡散個体の調査では和歌山県南部の日高川町の駆除個体のミトコンドリア遺伝子分析に着手した。14個体の分析では交雑群からの拡散を確認できなかった。
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Research Products
(8 results)