2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル効雑群に関する総合的研究
Project/Area Number |
16310156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60158623)
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (50027497)
濱田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40172978)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (80243111)
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Keywords | タイワンザル / ニホンザル / 交雑 / 和歌山県 / 移入種 / 拡散 / 生息実態調査 |
Research Abstract |
研究の3年目にあたる今年度は9月に生息実態調査を実施した。6日間で延べ104人が参加し、和歌山市と海南市にまたがる交雑群生息地で直接観察および発信機を用いた追跡によりタイワンザル交雑群の行動域、群れ数、個体数を調査した。この結果、県が進めてきた捕獲事業により3群40個体以上まで個体数が減っていることを確認した。2年前の調査結果と比べると1群の消滅で行動域に変化が認められる一方、全体の行動域は以前と大きく変化していないことがわかった。 和歌山県南部の日高川町、田辺市で有害駆除個体30から皮膚試料を得て、mtDNA分析により交雑群からの個体拡散の調査を行った。この結果、3種類のmtDNAハプロタイプが区別できたがいずれもニホンザルタイプで外来種群からの拡散の証拠は得られなかった。 試料の分析では、2003年3月から2006年6月までに採血した287個体の遺伝子分析とデータ解析を進めた。全体を4期に区分して比較を行った。この期間では交雑集団の82〜94%が交雑個体になっていること、移入ニホンザルはすべてオスでメスがいないことが確認できた。経時的変化では、ニホンザル遺伝子の割合が増加したかに見えるが有意とは判定できなかった。常染色体の遺伝子標識の推定により、交雑群ではすでにその半分の遺伝子がニホンザルのタイプに置き換わっていることが判明した。 昨年度につづき、今年度も遺体を回収し、形態調査のために骨格標本の作成を行い、すでに300個体を超える標本が利用できるようになった。最終年度の分析にこれらを利用する予定である。 これまでの研究成果は、国内の学会や講演会等で口頭で発表し、遺伝子分析の論文を公表した。
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Research Products
(4 results)