2007 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性への移入種の影響:和歌山のタイワンザル交雑群に関する総合的研究
Project/Area Number |
16310156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60158623)
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (50027497)
濱田 穣 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (40172978)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (30115951)
國松 豊 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80243111)
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Keywords | タイワンザル / ニホンザル / 交雑 / 和歌山県 / 拡散 / 尾長 / Y染色体多型 / モニタリング |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度の研究活動では、過去3年間の研究のとりまとめと結果の公表につとめた。形態学の分析では、これまでに収集した遺体の骨格標本化を進めて、300体以上について計測データの整理と比較を進めることができた。形態形質の特徴として特筆すべき発見は、尾長変化と交雑程度の比較から、遺伝学調査で個体毎に推定した交雑度と尾長が高い相関を示す事を明らかにできた点である。この結果より、構成尾骨の数と個々の骨の長さで決まる尾長が交雑度の判定指標として利用できることが判明した。また、遺伝学の分析では、Y染色体の非組換え領域にある3つのマイクロサテライト遺伝子座の多型の組合わせを利用し、Y染色体ハプロタイプの特性評価を進めることができた。この結果、和歌山県に定着したタイワンザルの母群に特異的なハプロタイプの判定が可能になった。この成果を利用し、さらに周辺地域へのタイワンザルや交雑したオス個体の拡散状況のモニタリングにこの新標識を応用し、周辺への影響について知見を得る事ができた。この結果では、TSPY遺伝子(Y染色体上の精巣特異的タンパク質遺伝子)で以前に判定していた結果と同様に、和歌山県南部、三重県に生息する在来のニホンザル生息地域へのタイワンザル遺伝子の拡散は確認できなかった。以上の成果を中心に、日本霊長類学会および日本哺乳類学会の年次大会で公表するとともに、2008年2月に開催された国際シンポジウムでも発表し、広く国内外の研究者に成果を伝えることができた。
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Research Products
(8 results)