2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16310157
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉浦 直人 熊本大学, 理学部, 助教授 (50304986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 泰則 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20002355)
高橋 英樹 北海道大学, 総合博物館, 教授 (70142700)
河原 孝行 森林総合研究所, 北海道支所, 森林育成研究グループ長 (70353654)
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Keywords | レブンアツモリソウ / 保全 / 共生発芽 / 無菌培養 / 雑種化 / ITS / 地域個体群 / 形態・遺伝的分化 |
Research Abstract |
(1)送粉昆虫ニセハイイロマルハナバチの礼文島における営巣開始は遅く、活動の終息も遅い(6月後半〜10月末)ことを示す結果を得た。本種がマメ科の花に対して強い選好性を示し、外来種の利用頻度が非常に高いことが判明した。毎年のハチの発生量が各年のレブンアツモリの結果成功を強く制限すること、さらにハチが不十分な花粉粒数しか柱頭に付着させないことを示唆する結果を得た。(2)主な自生地集団の間で、フロラ・植生・遺伝的な比較を行なった。北部の鉄府集団と船泊集団の間にはフロラ・植生に関して一定の類似性が認められたが、それらは南部の礼文滝集団と幾分異なっていた。レブンアツモリの全般的な立地環境は亜高山性〜山地性高茎草原で、北西向きの水はけのよい斜面と推測できた。アロザイム解析の結果からは、南部地域の集団は北部のそれに比べて特定の遺伝子が欠落している場合が多く、個体群の小集団化・分断化の悪影響が出始めていると推測できた。また、本種の遺伝的多様性が他の固有種と比較して特に低いとはいえないこともわかった。(3)レブンアツモリ、礼文産のホテイアツモリとカラフトアツモリソウおよび推定雑種について、ITS1とITS2部位の塩基配列を調べた。レブンとホテイの間には違いがなかったが、この2種とカラフトの間には8箇所の塩基が違っていた。推定雑種はレブンとカラフトで異なる箇所でヘテロになっており雑種性が確かめられた。道東産カラフトはレブンのものと3箇所で異なり、道東系が雑種親でないことも判明した。(4)無菌培養と共生発芽によって得られたレブンアツモリ苗の鉢上げと、その後の管理法の確立を目指した。4月中旬〜5月初旬に鉢上げを行い、シュートを15週間以上展開できた個体は次年度までの越冬に成功し順調に生育した。鉢上げ時の苗の大きさとその後の生育の間には有意な相関が認められなかった。無菌培養苗よりも共生発芽苗は越冬成功率が高かった。
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Research Products
(1 results)