2005 Fiscal Year Annual Research Report
古典期ペルシア語神秘主義テクストのデータベース化による文体論的研究
Project/Area Number |
16320043
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
藤井 守男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (90143619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 あや乃 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (60272613)
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Keywords | ペルシア文学 / イスラーム神秘主義 / ペルシア語タフスィール(注釈) / ペルシア神秘主義文学 / ペルシア語文体論 / 神秘体験と象徴表現 / 説教の言語表現 / 音楽的散文 |
Research Abstract |
今年度、本研究は、以下の3点の研究成果を得た。 1.昨年度(平成16年度)にデータ入力されたペルシア語テクスト校訂本『神秘の開示Kashf al-Asrar wa ‘Uddat al Abrar』全10巻の校正作業を行った。西暦12世紀初頭の古典籍の校正作業は、語法上の問題点の解明と思想的背景の理解を基に遂行されるため、本テクストに関して現時点で入手し得る研究成果の積極的な活用が不可欠であり、研究代表者と研究分担者はイランにおける代表的な研究者の協力を通じて得られた知見を校正作業にも反映させるべく務めた。校正作業は、さらに精度を上げて来年度も継続する。 2.入力データの校正作業と平行して、ペルシア語の説教文としての文体的特徴を明示するための作業としてペルシア語文の文章上の区切りの設定を行うとともに、イスラーム神秘主義的側面から本テクストの学問的価値を明らかにするための検索項目の選択と設定を進めた。研究代表者は、顕著な神秘主義的傾向を示す本テクスト(第3部)に関して、テクスト全10巻の全てに亘って、禁欲主義者と神秘主義者に係わる情報(神秘主義者の文言、逸話)を逐一検討し、選択、設定した。検索対象として決定された箇所を本テクスト本体にXMLタグ付けする入力作業も、文章と選択項目の設定と平行して開始した。さらに、聖典『コーラン』のペルシア語注釈書として重要性を持つ本テクスト中の「アーヤ」(『コーラン』の句)の校正作業も研究分担者と研究協力者との協力体制の中で鋭意進められた。 3.本テクストの神秘主義的特徴の抽出の学問史的意義を保証する作業として、近年、イラン国内で評価された本テクスト関連の学位論文を検討すると同時に、本テクスト全体に係わるイラン国外の研究者の研究動向の最新の情報を入手した。これらの情報は、本研究の学問史的将来性と意義を確認させるものであり、来年度に継続される作業と本データベースの活用を土台とする研究遂行のため有益な実績となった。
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