2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320056
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
大城 光正 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40122379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和彦 京都大学, 大学院文学研究科, 教授 (90183699)
池田 潤 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (60288850)
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Keywords | 再帰小辞 / 楔形文字ルウィ語 / 象形文字ルウィ語 / パラー語 / アッカド語 / セム租語 / 原郷 / ヒッタイト語 |
Research Abstract |
印欧アナトリア諸語に於ける再帰に関する小辞は*-tiが再建されている:楔形文字ルウィ語-ti、象形文字ルウィ語-ti、パラー語-ti、リュキア語-ti。なお、ヒッタイト語の再帰小辞は-za/-zであるが、アナトリア祖語*tiからヒッタイト語ziの規則的な音変化と同様に、ヒッタイト語再帰小辞は*-ti>*-zi>-z(a)[i-apocope]の推移による改新形と考えられる。また、パラー語には上記の小辞形-ti以外に-siという語形も確証されるが、従来、同語形の来源については不確実であった。しかし、象形文字ルウィ語にも僅少ながら3例の-siの用例が確認され、最近の石碑文の発見によってさらに3例の-siの用例(総計6例)が確認された。そこで、同語形の文脈分析とパラー語の-si用例の比較検討によって、アナトリア諸語の古層におけるもう一つの再帰小辞の存在*-siが明らかになった。このことは、楔形文字使用のルウィ系民族から象形文字使用のルウィ系民族への継承及びルウィ系以外のパラー語を含む楔形文字使用民族との継続的な接触の可能性が推知される。さらに、アッカド語を含むセム系の諸言語の比較言語学的な研究において、セム祖語として再建された文化語彙の意味比較分析によって、元来、セム祖語の話し手は農耕民であり、それ故セム語の原郷は農耕可能な場所であった蓋然性が非常に高いことがセム系の楔形文字言語研究グループにおいて確証された。 以上の考察については、大城が主宰する西アジア言語研究会(第13回:平成18年11月25日:京産大)で研究成果の一部を発表している。
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Research Products
(5 results)