2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320056
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
大城 光正 Kyoto Sangyo University, 外国語学部, 教授 (40122379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和彦 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90183699)
池田 潤 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60288850)
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Keywords | 言語接触 / アナトリア語派 / 象形文字ルウィ語 / ヒッタイト語 / セム語 / 楔形文字 / 印欧祖語 / 中受動態 |
Research Abstract |
18年度の成果である、ルウィ語群の象形文字ルウィ語と非ルウィ語群のパラー語とのアナトリア語派内の言語的親近性が再帰小辞-siの同定によって推知されたことで、同語派内の言語的下位区分(subgrouping)のみならず、アナトリア語派と周辺言語間の言語接触、言語的親縁関係の詳細な考察が急務となった。印欧祖語1人称単数過去形語尾*-h_2e/*h_2eh_2eのヒッタイト語-hhahat(i)、リュキア語-xaga、ギリシア語-men間の対応もむしろアナトリア祖語における改変形の蓋然性が高い。同様に、後期ヒッタイト語動詞形において散見される中受動態語尾-ari(古層)と-tari形の共存は、能動態-hi活用(-i語尾)から汎用的な-mi活用(-zi語尾)形成との類別のために中受動態-tari語尾を付加するというヒッタイト語独特の改新形が、特に中受動態の形態論的な歴史的な考察によって明らかになった。さらに、昨年セム系の楔形文字言語研究グループにおいてセム語の原郷を農耕可能な場所の可能性が高いことが指摘されたが、さらにセム諸語間の比較言語学的研究によって、同原郷を民族移動に伴う言語接触の可能な地域という限定がされた。つまり、セム語の原郷を、多くの上位語が混在する地域(center of gravity model)であり、それは東セム系と西セム系が混在したメソポタミアかシリア・パレスチナ(且つ、農耕が行われた地域)に限定するものである。 以上の考察に加えて、古代オリエント地域の印欧語族の諸言語とセム諸言語、非印欧・非セム言語間の言語接触の実体についての総括的な報告が、大城が主宰する西アジア言語研究会(第14回:平成19年12月1日:京産大)で発表された。
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Research Products
(7 results)