2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320062
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松岡 和美 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (30327671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 浩司 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (50286605)
三好 暢博 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30344633)
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Keywords | 言語獲得 / 助詞 / 主語指向パターン / だけ / 焦点化の副詞 / crambling / choice function binding / phase |
Research Abstract |
言語獲得班は、札幌・大阪で収集したデータに見られた「主語指向パターン」について、ドイツ語の関連文献で報告されている実験結果との共通性を指摘する論文を発表した。また、前年度に大阪で行った実験結果を補完するデータを集めるため、2007年12月に横浜市で「だけ」と助詞が共起する場合とそうでない場合の文解釈のデータを収集した。2回のセッションを行うことで、同じ被験者から2つの異なったタイプの構文の解釈を得たことがこの実験の大きな特徴である。この結果、幼児の焦点表現の解釈が助詞の有無に影響されることが明らかになった。比較のため、横浜市の大学生23名からも無記名アンケート式で構文の解釈データを収集した。今年度秋にはアメリカの英語母語話者のアンケート結果をもとにアメリカの保育施設における実験計画の修正を行った。19年度中のデータ収集の実施を予定している。 統語理論班は、前年度のHoshi(2005a,b)の焦点化に対する極小主義的分析を基盤とし、焦点化の副詞のonly(英),nur(独),dake(日)の比較分析を行った。特に、焦点化の副詞が提起する2つの論点、(A)なぜ、onlyは呼応する焦点表現がそのc-統御領域に出現することを要請するのか、(B)なぜ、nurはscramblingによってintervention effectsが回避されるのか、に関して、極小主義の枠組みでの解答を求めた。その結果、(A)は、onlyの語彙的意味特性とchoice function bindingに基づくcompositional semanticsの相互作用の帰結として捉えられ、(B)は、Agreeに基づくnurの焦点連結がscramblingと同一phase内で同時に起こり得るというChomsky(2005)のシステムから導かれることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)