2005 Fiscal Year Annual Research Report
多言語併用環境における日本語の習得、教育、及び支援に関する研究
Project/Area Number |
16320066
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長友 和彦 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (60164448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 新 お茶の水女子大学, 留学性センター, 助教授 (10343170)
史 傑 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50296795)
藤井 久美子 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (60304044)
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Keywords | マルチリンガリズム / 多言語習得 / 第三言語習得 / コードスウィッチング / アイデンティティ / 1人1言語仮説 / 多言語多文化 / 言語転移 |
Research Abstract |
「マルチリンガリズム研究会」(本科研のメンバーで設立)の例会やスイス・フリブールで開催の「The Fourth International Conference on Third Language Acquisition and Multilingualism」の「Multilingualism in Japan」というコロッキア等で公表した主な研究実績は以下のようなものである。 (1)家庭内の「1人1言語」仮説(One Person-One Language Hypothesis)と、家庭・学校・地域社会の「1環境1言語仮説」(One Environment-One Language Hypothesis)組み合わせた仮説は、日本社会でも支持される事例が見られる。しかし、3言語(日本語・タガログ語・英語)併用幼児を対象とした約3年間の事例研究においては、家庭内だけの3言語保持努力には限界があり、多言語保持を支援する学校と地域社会の言語環境の整備が必要であることも分かった。 (2)2歳の時からの約10年間におよぶ3言語(英語・中国語・日本語)併用話者対象の研究では、帰属グループ・社会・文化・個性・言語・家族関係・国籍等が要因となり、変化しながら発達する複数のアイデンティティがあることが明らかにされた。 (3)2言語(韓国語・日本語)併用環境から英語を含む3言語併用環境になった高校生における「言語転移」を「誤用分析」に基づいて分析した結果、韓国語がT(=thought)-Language、日本語と英語がS(=speaking)-Languageとして「言語転移」に関わるという認知言語学的仮説を提示できた。 (4)日本語・スペイン語・英語を均等に発達させているメキシコ在住日本人を対象に、来日後の会社や私生活での3言語併用の実態を調べた結果、3言語のcode-switchingやアイデンティティの揺れに関わるさまざまな内的・外的要因を示すことができた。
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