2004 Fiscal Year Annual Research Report
移住者と受入住民の多文化的統合を視座とした共通言語教育
Project/Area Number |
16320069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 岩手大学, 国際交流センター, 助教授 (60344628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 祐子 新潟大学, 国際センター, 助教授 (00313552)
土屋 千尋 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00242389)
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Keywords | 言語教育 / 言語能力判定 / 相互理解 / コミュニケーションスキル / 平時と緊急時 |
Research Abstract |
海外諸機関の調査の結果、以下のことが明らかになった。 1)ヨーロッパ諸国では、滞在権に関わらず移民の定住化が進んでおり、それらの外国人住民の社会統合には法的措置、社会保障の充実とともに、言語教育、職業教育など外国人住民が自立するための事業が必要である。例えば、言語学習の義務化、言語能力判定による滞在許可、年少者の教育の義務化、職業教育機会の提供などによる世代を超えた社会階層の定着化を回避する事業などがある。 2)多文化的社会では地域住民同士の衝突回避、コミュニケーションの促進を諮るため、相互理解のための知識の獲得とコミュニケーションスキルの向上につながる施策が不可欠である。そのためには、ある程度の法的、教育的措置を行政機関が行なわなければならない。異文化コミュニケーション講座の開催、雇用主・行政官に対する偏見除去教育、地域社会の多文化的衝突解決員の配置などが有効とされる。 3)法的、教育的措置に伴う予算と事業効果の評価については、今後の課題である。 (以上について異文化間教育学会第25回大会および言語政策学会第5回大会において発表を行った) 4)韓国では日本と同様外国人労働者、配偶者を中心に外国人が急増しているが、これに伴う諸課題について国、自治体、民間の各レベルで2000年以降に対応が見られるようになっている。日本との類似点が多いことから今後、言語問題の解決について協力できることをいくつかの機関で確認した。 国内諸機関調査等の結果は以下のとおりである。 1)外国人集住地域を中心として、多文化共生事業が増加している。(現在、事業データベースを構築中) 2)新潟中越地震時の状況から、外国人住民が言語的文化的差異から災害弱者になった事例が多く報告された。特に中山間地域では災害時に情報の伝達手段が限定されるため、阪神大震災のような都市部の災害とは別の側面がある。そのため、地域特性別に言語的対策を講じる必要性があることが明らかになった。具体的方策については次年度の課題とする。また、緊急時だけでなく、平時のコミュニケーションを促進することが緊急時にも有効であるという指摘があり、受入住民と外国人との共通言語の構築について具体的事業を査靴ことが次年度の課題としてあがった。
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Research Products
(2 results)