2006 Fiscal Year Annual Research Report
社会的結合についてのアジア比較史的研究-文化摩擦の歴史構造的要因-
Project/Area Number |
16320079
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安田 浩 千葉大学, 文学部, 教授 (40114219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 博信 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (60134342)
三宅 明正 千葉大学, 文学部, 教授 (30174139)
趙 景達 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (70188499)
山田 賢 千葉大学, 文学部, 教授 (90230482)
栗田 禎子 千葉大学, 文学部, 教授 (10225261)
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Keywords | 日本史 / 東洋史 / 社会的結合 / ボーダレス化 / グローバル化 / 都市 / 村落 / 宗教 |
Research Abstract |
本研究は、日本の中世から現代に至るまでを考察の基軸に据えながら、朝鮮・中国・東南アジア・イスラーム圏などとの比較史的検討を目指すものであり、本年度はその最終年に当たる。そのため研究は、互いの研究報告を議論することに重点が置かれた。その結果以下のようなことが明らかとなった。 日本の近世から近代にかけての時期は、極めて均質度の高い村的結合が普遍的にみられるのに対して、他のアジアはそうなっていない。朝鮮は比較的そうした社会だが、それでも流動性に富んでいるため、結合の方式は村を越えることが珍しくなく、また宗族結合も強度が高い。中国は朝鮮以上のそうした傾向が顕著であり、そのため民衆の騒擾は反乱に発展することがしばしばとなる。東南アジアの場合は、小農社会が展開されておらず、所有観念が希薄なため相互互助的人間関係は、非常に濃密である。それに対してイスラム地域においては、宗教的結合がまずもって確認され、それはすべての価値を包摂し、人間関係はそれに多分に規定される面を強く持った。 もちろん、どの地域においても都市と農村では結合の方式は違っている。本研究ではそのことについても議論がなされたが、それをより深めるためにはさらなる研究が必要となる。それは主に文化史的なアプローチから明らかにされる必要があると思われる。すなわち、今後はそうした結合がいかなる文化の規定性を受け、また逆にいかなる規定性を文化に与えるかが検証されなければならないであろう。
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Research Products
(7 results)