2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320083
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐原 哲也 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (70254125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30212898)
市野川 容孝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30277727)
山岸 智子 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (50272480)
薩摩 秀登 明治大学, 経営学部, 教授 (70211274)
丸川 哲史 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (50337903)
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Keywords | 民族浄化 / 地域紛争 / 強制移住 / ジェノサイド / 強制的同化 |
Research Abstract |
2005年度は、前年度の研究を更に発展させる多くの成果を得た。民族浄化の概念の検討を踏まえて,国際法の側面から現状認識の共有と問題点の検討を行うため、国際刑事法と地域紛争の予防に関する研究会を6月12日に開催した。ここでは国際刑事法の規範確立における旧ユーゴ国際戦犯法廷(ICTY)の果たした役割、および、セルビア・モンテネグロの国内政治プロセスに対するICTYの及ぼしている影響、特に民族主義右翼政党の躍進との関係の分析、および,ボスニア・ヘルツェゴヴィナでの戦犯法廷の展開とその問題点が報告され、これを受けて歴史学と国際法の専門研究者による討論が行われた。その結果として,現行のICC規定の限界が指摘され,地域的伝統文化、社会的価値観とグローバルな法規範の齟齬によって処罰はされるが民族浄化などの紛争の予防には逆効果を齎しかねないことが確認された。資料収集活動としては、8月にはボスニアでの調査を行い、国際人道法・戦争犯罪研究所の協力を得て、内戦時の民族浄化に関する資料を多数収集した。民族浄化の歴史的展開に関する研究の分野では二回の研究会を開催し,多くの新事実を確認した。11月には前近代の強制追放に関する研究会を明治大学で開催し、中世ヨーロッパの異端審問と宗教戦争の事例,および,中世イスラム世界での政策的な強制移住の実態についての報告が行われた。12月には、ロシア・トルコ戦争に関する国際会議をトルコ共和国アンカラ市の中東工科大学で開催した。ここでは総計12カ国の研究者が報告し、南東ヨーロッパ、東地中海での民族浄化の加速化に件の戦争が重要な役割を果たしたことが確認された。
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Research Products
(5 results)