Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 隆吉 桜美林大学, 国際学部, 教授 (50316923)
伊藤 敏雄 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00184672)
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20312720)
阿部 幸信 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (60346731)
安部 聡一郎 金沢大学, 文学部, 専任講師 (10345647)
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Research Abstract |
1.平成17年3月,および同年8月の2度にわたり,長沙市博物館で呉簡を実際に見て,写真撮影を行った.その結果,小型竹簡の断片同士が結合する例がいくつか確認できた.また別の竹簡の墨痕が付着している例もあった.これは書写直後に積み重ねられたことを示している.大型木簡では,左右の断割面の形状について検討した.小型竹簡・大型木簡ともに,左右に断割した際うまく断割できずに,別片の文字が残っているものがあった.このことは,まず左右に同文を書き上げ,その後中央から断割したことを示唆している. これら以外に,封検や籤牌についても実見した.封検は,大きさがまちまちで,紙の文書に附せられた可能性が指摘されているものもあり,簡牘と紙が併用された可能性が指摘されている. 2.長沙呉簡の史料的な特質の一つは,多様な形状・内容の簡牘が一箇所から出土したことにあるので,まず形状や内容などから新たな分類を試みた.その結果,名籍(小型竹簡)や吏民田家〓(大型木簡)など長沙郡臨湘県の戸曹に関係するものと,賦税類竹簡など倉曹や庫曹に関係するものに大別されることがわかった.おそらく後者が前者に集約されたものと考えられ,それが両者が一括して出土した理由であろう. 3.小型竹簡はまだごく一部の写真と釈文が公開されたにすぎないが,名籍,賦税類竹簡以外にも,多様な性格・内容のものが含まれている.今後,公開が進むにしたがって,さらに多様な竹簡の存在が明らかになると考えられ,現時点で可能な限り,分類を試行させる必要がある.そこで,ファイルを作成することにした. 4.吏民田家〓などに見られる「丘」のついては,その本質把握のために現在の長沙市周辺の地形を検分することも必要で,不十分ながら17年8月に周辺の地形を観察したが,開発が進む以前は,起伏に富んだ地形であることが確認できた.市内でもなお現在その痕跡をかろうじてとどめている.
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