2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴 宜弘 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50187390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 董 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50162962)
六鹿 茂夫 静岡県立大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (10248817)
佐原 徹哉 明治大学, 政治経済学部, 准教授 (70254125)
石田 信一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (80282284)
中島 崇文 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (90386798)
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Keywords | 西洋史 / 歴史教科書 / バルカン / 国際研究者交流 / 多国籍 / 地域史 / 歴史教育 |
Research Abstract |
平成18年度分からの繰越金を使用して、平成19年5月にセルビアからM.リストヴィチ氏を招聘し、研究分担者及び一般の学生を対象としたワークショップを開催した。ワークショップではセルビアにおける歴史教科書の現況とバルカン地域の共通歴史副教材のセルビアでの受容状況に関して報告を仰ぎ、研究参加者との意見交換を行った。また、平成19年の前半には適宜研究会を開催し、11月に開催を予定したシンポジウムに向けた準備を行った。 以上の準備を踏まえ、11月には国内外の歴史研究者と歴史教師を招き国際シンポジウム『地域史をどのように構想し、叙述し、教育するか-バルカンと東アジアの事例から』を開催した。この際、(1)国民史の枠組みを越える歴史叙述の構想のされ方、(2)市民権など新たな視点に基づく実際の歴史叙述の試みの紹介、(3)地域史的な歴史叙述を教育現場にどのように適用するかを論点に設定した。具体的には前回のシンポジウムに引き続きバルカン地域の共通副教材の教育現場での運用に注目した他、日本の歴史教育、中国と台湾の歴史教科書の記述の比較検討などを行い、国民史の枠組みを越える歴史認識の構築に向けた可能性に関して、ならびにバルカンと東アジア地域の歴史教科書の比較を今後も継続する必要性に関して議論を交わした。 また、本年度は科研費研究の最終年度であるため、研究成果の公表に向けた作業も並行して実施した。その結果、平成20年3月に二つの出版物を刊行した。第一にシンポジウムの報告を基にした『バルカン史と歴史教育』(明石書店)であり、第二は研究参加者の論考を集約した科研費研究成果報告集である。これらの論考においてもバルカン地域で先行している地域史の枠組みとそれに基づく歴史叙述が検討されている。 以上に記した研究活動を通じて、国民史を越える歴史叙述と歴史教育を目指すバルカン地域の模索から得た知見を日本を含めた東アジア地域の歴史叙述に適用する可能性と問題点に関して共通認識を築けたことが本年度の研究の成果である。
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Research Products
(7 results)