2004 Fiscal Year Annual Research Report
雑穀資料からみた極東地域における農耕受容と拡散過程の実証的研究
Project/Area Number |
16320110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 助教授 (80274679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲元 眞之 熊本大学, 文学部, 教授 (70072717)
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Keywords | 雑穀 / 東北アジア / 皮性オオムギ / 裸性オオムギ / 古代 / 中世 |
Research Abstract |
1.研究の目的 本研究ではフローテーション法を駆使した遺跡からの種実資料の回収作業を通じて、東北アジアの主要穀物である麦類を含めた雑穀資料の東北アジア的展開を探ることを主目的としている。研究上の新たな課題である、(1)古墳時代以降の穀物構成の変遷とその要因の解明とその要因の一つとも考えられる(2)極東アジアレベルでの穀物の流入・展開の把握という2点を研究課題とする。この課題に対処するため、(1)日本(とくに九州地方)、ロシア極東地方、朝鮮半島・中国の遺跡出土穀物の集成、(2)雑穀(ムギ類・ミレット類)の形態的比較研究という作業を実施する。これによって、華北雑穀農耕の周辺地域における穀物栽培史の実態を把握し、わが国での受容およびその後の展開を考察する上での基礎的なデータが揃うものと思われる。 2.本年度の研究業績 (1)海外研究共同者であるセルグシェーワ氏および椿坂氏とともにロシア極東地方・北海道地域の種子の検討、同定法の問題点を共同研究した。 (2)九州地方の種実資料の回収のため、大分県四日市遺跡、宮崎県平田遺跡(弥生時代)、福岡県日詰遺跡(古代)、同博多遺跡群第147次調査地点の種子の選別・回収・同定作業を実施した。その一部は報告書として報告予定である。 (3)穀物出土遺跡集成作業の一環として関東地方の穀物出土遺跡の地名表を作成した。 (4)沖縄県内・鹿児島県内・宮崎県・福岡市内の出土種子の調査を実施した。 3.研究の公開と成果 2005年3月6日、熊本大学において、共同研究者および海外研究者、さらには有識者を招聘して、公開で研究発表会を開催した。この研究発表および討論においてはムギ類に焦点が集まり、皮性オオムギと裸性オオムギという品種の時期別・地域別の展開が認められることが明らかになり、皮性オオムギが古代以降、わが国を含めた極東アジアに広がる様相を確認できたことは大きな成果であった。
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Research Products
(3 results)