2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320111
|
Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
松村 恵司 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発振調査部, 考古第二調査室長 (20113433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栄原 永遠男 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80102979)
|
Keywords | 富木銭 / 和同開珎 / 無文銀銭 / 古和同 / 初期貨幣史 |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究実施計画に従い和同開珎に関する総括的研究を行った。 (1)(3)学史の整理……昨年度まとめた「日本初期貨幣研究史略」の内容の充実化に向け、文献資料の収集と閲覧を継続し、今年度中に銭文論争に関わる研究史の整理を終えた。 (2)古和同銀・銅銭の実物調査……実物資料の調査を通して、古和同銅銭の種銭の特異な制作方法や、富本銭と和同開珎の鋳銭技術の異同性が明らかになった。 (4)和同開珎の銭文の出典調査……「和同」「開珎」の出典をめぐる中国古典の調査を継続した結果、銭文の意味が明確になり、『詩緯』『淮南子』『東都賦』を典拠とする可能性が高まった。 (5)富本銭と和同開珎の規格・形制の比較研究……富本銭に比較すると古和同銅銭は規格性に欠け、開元通寳の規格を上回るものも多いが、新和同になると古和同の半分の重量の軽量貨幣となり、銅銭の名目貨幣化が進行する実態を把握できた。 (6)鉛同位体比分析と金属組成分析……富本銭の鉛同位対比分析の結果、長門の銅の可能性が高まり、長登銅山の操業がさらに遡る可能性が浮上した。また富本銭と古和同銅銭がアンチモンを含有する同一の金属組成であることが明らかになり、富木銭から和同開珎への鋳銭技術の継続性を確認できた。 (7)初期貨幣出土分布図の作成……東日本地域における和同開珎の分布図を作成し、個別の出土状況を分析した結果、銭貨の祭祀的な使用法が明らかになった。 (8)「初期貨幣関係史料集稿」の作成……日本と中国の古代貨幣に関する史料調査を継続し、その一部を抜粋した形で「和同開珎関係基本史料集稿」を作成した。 (9):初期貨幣研究集会の開催……平成18年1月28・29両日、研究集会「和同開珎をめぐる史的検討」を奈良文化財研究所において開催し、考古学・文献史学・古泉学等の研究者40名ほどで、和同開珎をめぐる研究報告と総合討議を行った。
|
Research Products
(5 results)