2006 Fiscal Year Annual Research Report
暮らしにおけるモノと人との相互的関係に関する生活文化学的研究
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16320120
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Research Institution | MUKOGAWA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
横川 公子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50090923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 理恵 東海大学, 海洋学部, 助教授 (70390713)
角野 幸博 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (90248120)
佐藤 浩司 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 助教授 (60215788)
笹原 亮二 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 助教授 (90290923)
森 理恵 京都府立大学, 人間環境学部, 助教授 (00269820)
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Keywords | 大村しげ / 民族学 / モノ(生活財) / モノの価値 / 悉皆調査 / 生活文化 / 相互的関係性 / 京都 |
Research Abstract |
国立民族学博物館所蔵の大村しげコレクションは、元の所有者が日々の暮らしの中で蓄積した生活財のほぼ全容をもって構成される。今までの調査によって、個々の生活財について詳細な情報が記録され、全体像を表すエクセルファイルと画像データのCDを発行すると同時に、調査の過程で発見された特徴的な傾向や、研究者の問題意識にしたがってモノから見えてきた見解等について、『国立民族学博物館研究報告書SERS68』(2007.3)を発刊した。その主たる内容は以下のように一覧できる。「大村しげの都心居住」「収納家具とその中身の配置について」「おばんざいの道具立て」「おばんざいの流布について」「おばんざいの思想について」「大村しげの衣類・履物について」「文筆家としての大村しげの思想について」等々である。 さらにもうひとつの課題である、生活主体が抱いているモノをめぐる生活の価値については、関係者へのインタビューと著作を参照することによって再現し、これについても取りまとめて、近く公刊する(横川公子編『大村しげ 京都町家暮らし』河出書房新社、2007.5予定)。以下のような見通しを得ることができた。所有者の生活の経時的変化に対応する生活財のまとまり、および生活財の空間的な所在を再現することによって、所有者と時間的・空間的な生活財の位置との関わりや暮らしの思想を再現できること。さらに拝観チケット・食べ物屋のメニューやチラシなどの遺品から、所有者のお出かけ行動の内容と京都市内外における行動範囲や行動スタイルを読み取ることによって、都心居住者としての生活を再現することができること。同様に、主にインタビュー調査とフィールド調査によって晩年に居住したバリ島における行動や行動範囲・行動スタイルを読み取ることができること。大量の原稿や校正刷り、原稿用紙、筆記用具、著書などの物書きとしての用品や、父親の家業であった仕出し屋の道具類や多様な贈答品の蓄積から、京都や祇園という地域の固有の暮らしが再現できること、等々。モノと著作による暮らしの内側からの発信は、観光都市・京都イメージとは異なる、生活の現実感覚があぶりだされてくる。
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Research Products
(7 results)