2006 Fiscal Year Annual Research Report
西洋と日本における法の「かたち」と統合作用--史料論的・文化史的比較研究
Project/Area Number |
16330001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 正樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20206931)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
山田 欣吾 一橋大学, 名誉教授 (70017523)
石部 雅亮 大阪国際大学, 法政経学部, 教授 (90046970)
村上 淳一 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (80009795)
石井 紫郎 東京大学, 名誉教授 (00009797)
|
Keywords | ドイツ / 統合 / ローマ帝国 / 勅法 / 国王裁判 / 法学入門 / 法曹育成 / 歴史法学 |
Research Abstract |
今年度は最終年度であり、研究成果の集約と総括につとめた。各研究班ごとに研究のまとめを試みるとともに、全体の合宿研究会で報告と議論を行って、総合をはかった。その過程で、何人かのメンバーがドイツとイタリアに赴き、研究成果について外国人研究者の評価を受け、意見を交換した。全体研究会でとくに議論を深めた問題を具体的にいくつかあげれば、まず西洋古代に関しては、古代末期の皇帝勅法における贈与の扱いについて、家秩序、政治秩序、経済秩序の観点からそれぞれ詳しい検討がなされ、皇帝政府が多面的な考慮を勅法の中に取り入れつつ、古代末期の変動の中で帝国の統合を維持しようとしていたことが浮き彫りにされた。西洋中世に関しては、中世中期ドイツの国王裁判について、中世初期のそれとの比較や、狭義の裁判以外の仲裁や和解による紛争解決との比較を伴った検討がなされ、中世中期における国王裁判の意義の増大、国王と諸侯による共同決定という側面、学識法や都市市民の登場による紛争解決様式の変化、などが指摘された。こうした国王裁判に見られる変化と中世中期の法書史料に見られる国制像や国王とのレーン関係の扱いとの関係についても議論がなされた。近世に関しては、何人かの近世法学者たちが採用したインスティトゥティオーネース(法学入門)体系が比較対照されて、法素材がそのような形式で整理されたことの意味が考察され、身分制との関係や日本民法典編纂時との比較なども議論された。西洋近代に関しては、19世紀初頭のプロイセンにおける法曹養成が、特にそこでの理論教育と実務教育の関係に注意しつつ検討された。直前に成立した大法典であるプロイセン一般ラント法の扱いや大学において新興の歴史法学派が占めた位置について、考察と議論がなされた。
|
Research Products
(25 results)