2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 英樹 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60022422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦部 法穂 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90009811)
本 秀紀 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00252213)
愛敬 浩二 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10293490)
小沢 隆一 静岡大学, 人文学部, 教授 (60224226)
塚田 哲之 神戸学院大学, 法学部, 助教授 (00283383)
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Keywords | 安全 / 安心 / 平和主義 / 社会保障 / 人間の安全保障 / 危機管理 / 警察国家 / 治安立法 |
Research Abstract |
今年度も、昨年度に引き続いて、2回の研究会合宿を開催し、昨年度明らかとなった総論的視座をふまえながら、各国および各領域ごとの各論的な検討を集中的に進めた。 具体的には、ドイツにおける「自由と安全」をめぐる憲法学の最新動向について、ラテンアメリカにおける「安全と不信」の相克をめぐる現況について、アメリカにおける「愛国者法」およびテロ対策の動向について、ドイツにおける基本権保護義務論と日本での適用可能性について、イタリアにおける国際的テロリズムへの対応について、日本の改憲論議における「安全・安心」イデオロギーの使われ方について、フランスにおける個人情報保護法制について(その成果として、「研究発表」欄記載の清田論文、参照)、イギリスにおける「安全・安心」政策の展開について、等である(以上は順次、『法律時報』誌等に連載・公表の予定)。 これらの検討を通じて明らかになったことは、各国における「安全」・「安心」といったキーワードの使われ方は、時代背景に伴う共通性をもちつつも、各国固有の歴史的文脈の刻印を色濃く受けているという点である。たとえば、とりわけ「9.11」以降、各国におけるテロ対策は、「安全」確保のための「自由」制約というかたちで展開を見せているが、その内容や歴史的な意味合いは、たとえばアメリカ合衆国とラテンアメリカ諸国では、大きな違いがある、といった具合である。もとより、それらは、ヨーロッパにおける議論・実践とも異なっており、また、ヨーロッパ内部においても、各国それぞれの特色が明らかとなった。 なお、2年目は国ごとの詳細な分析に重点を置いたため、文献だけでは把握できない実態や法制度の運用状況を調査する目的で、外国(ヨーロッパ諸国)への研究調査を実施した。
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