2006 Fiscal Year Annual Research Report
治安・犯罪対策の科学的根拠となる犯罪統計(日本版犯罪被害調査)の開発
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16330016
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
浜井 浩一 龍谷大学, 大学院法務研究科(法科大学院), 教授 (60373106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰野 文理 国士舘大学, 法学部, 助教授 (60285749)
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Keywords | 犯罪統計 / 被害調査 / 被害者 / BCS / NCVS / イギリス / アメリカ / 治安 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に従い、2006年3月及び5月に実施した日本版犯罪被害調査(Japanese Crime Survey)のパイロット版の調査結果を集計・整理し、統計ソフトSPSSを用いてデータセットを作成した。そして、そのデータセットを使用して、犯罪被害、犯罪不安、刑罰・刑事司法等を従属変数として、クロス集計や多変量解析を実施し、その結果を2007年3月に科学研究費補助金研究成果報告書としてまとめ、刊行した。 また、近時、個人情報保護法の施行や、架空請求詐欺等の被害の拡大によって、世論調査・社会調査の実施環境が悪化しつつあり、調査実施に対する苦情が増大すると同時に、調査の回答率が低下するなど、調査の妥当性・信頼性の低下が懸念されている。研究代表者の浜井が2000年に法務省で実施したICVS2000の回収率が73.7%であったのに対して、2006年に実施した本パイロット調査の回収率は60.4%に低下した。そこで、本パイロット調査では、調査方法(実査)のあり方についても検討を加えた。その結果、従来の我が国の世論調査の基本的方法であった訪問面接調査よりも、訪問留置き調査の回収率が高いこと、また、無回答者に対する郵送法による追跡二次調査の結果、無回答者層の犯罪被害率や犯罪不安が、回答者層よりもやや高いことが確認されるなど、今後の調査研究において重要な課題が発見できた。 2006年度の研究成果の公表については、2006年6月にスウェーデン・ストックホルムで開催された国際犯罪学シンポジウム、10月にアメリカ・カリフォルニア州バークレイで開催された東アジア刑事司法シンポジウムに招聘され、今回のパイロット調査の結果を紹介しながら犯罪統計から見た日本の犯罪と刑罰の実情について報告した。また、8月には、本パイロット版調査の結果の概要についての記者レクを京都大学において実施し、共同通信で配信されるなど新聞各紙に掲載された。また、9月に神戸学院大学で開催された日本犯罪心理学会及び10月に中央大学で開催された日本犯罪社会学会において結果の概要を報告した。さらに、12月に犯罪統計や治安分析に関する一般向けの解説書として『犯罪不安社会』(2006年・光文社)を刊行した。
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Research Products
(5 results)