2004 Fiscal Year Annual Research Report
植民地台湾をめぐる中国ナショナリズム、日本の汎アジア主義、台湾人ナショナリズム
Project/Area Number |
16330030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 正孝 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20222292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒込 武 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (80221977)
近藤 正己 近畿大学, 文芸学部, 教授 (70247956)
久保 亨 信州大学, 人文学部, 教授 (10143520)
川島 真 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90301861)
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Keywords | 汎アジア主義 / 大東亜共栄圏 / 植民地台湾 / 南洋華僑 / 西南派 / 国民党政府 / ナショナル・アイデンティティ / 両岸関係汎アジア主義 |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの初年度であるため、札幌、京都、東京などにおいて参加者の間での情報交換と問題意識の共有を図った。そして、コンピューター関係の環境整備を整えた上で本プロジェクトのために日中両文によるホームページを立ち上げ、BBSを設置し、来年度の研究会のための企画を練り始めた。その結果、本プロジェクトに必要だが落ちていたいくつかの重要な課題が見え始めた。例えば、植民地台湾、帝国日本と関係の深い南洋及び南洋華僑、汪兆銘政権と華僑及び大アジア主義との関係、などである。このため、当初の研究メンバーに加え、中国・台湾・香港・シンガポールなどの専門家に参加を呼びかけ、日本国内からも、建築史や考古学、対東南アジア外交史など、極めて多彩で充実した顔ぶれを集めることができ、来年度の国際シンポジウムの準備は順調に滑り出した。 各分担者は、松浦は汎アジア主義における「台湾要因」、時系列の中の日本の汎アジア主義の変遷について、近藤は日中戦争期における台湾発の対華南工作について、駒込は朝鮮・内地と比較した上での台湾における神社参拝問題から台湾人のナショナル・アイデンティティ、台湾における教育制度について、川島は中国政治外交史の中での広東政府の位置づけについて、久保は中国統一過程における関税・通貨政策及び工業化の研究を進め、それぞれ論文を刊行した。いずれも、来年度の研究会報告のための準備作業である。以上の作業や学術交流の中で、日本・中国がいずれも、「以夷征夷」(日本による中国の欧米依存批判)、「以華征華」(中国による日本の台湾統治政策批判)、「以亜征亜」(日本による英国の中国・インド等アジア植民地支配)といった概念を用いながら、各自のナショナル、トランスナショナルなアイデンティティ概念を操作して、相互に競争していった様相が少しずつ浮かび上がってきた。来年度の国際シンポの重要なモチーフとなろう。
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Research Products
(20 results)