2004 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末〜戦間期における経済思想の国際比較-経済社会の構想と経済政策のデザイン-
Project/Area Number |
16330036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
深貝 保則 東京都立大学, 経済学部, 教授 (00165242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 啓子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80170083)
高 哲男 九州産業大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90106790)
中山 智香子 東京外国語大学, 地域文化研究科, 助教授 (10274680)
西沢 保 一橋大学, 経済研究所, 教授 (10164550)
姫野 順一 長崎大学, 環境科学部, 教授 (00117227)
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Keywords | 新自由主義 / 福祉 / 進化思想 / 金本位制 / 不均衡 / 19世紀末 / 戦間期 / 社会結合 |
Research Abstract |
研究計画の初年度として、研究目的に掲げた(1)経済社会の構想、(2)国際的金融秩序を含む調整と経済政策の機能、の二つに対応して、19世紀末〜戦間期の経済思想をめぐっての研究集会を、海外共同研究者の参加をも得て2回開催した。 (1)19世紀末から20世紀初頭にかけてのイギリスに典型的にみられた「新自由主義」の研究で知られるM.フリーデン教授(オックスフォード大学)をはじめ3名の海外研究者の参加を得て、2004年12月に経済社会の構想に力点を置いた検討を行なった。20世紀初頭における自由主義の変容と、思考習慣の変容、進化のなかで、新たな社会結合の試みがみられた。特徴的なのは、福祉、厚生(welfare)が重要問題のひとつに浮上するという20世紀初頭の各国の様相のなかで、しばしば有機的ヴィジョンが用いられたことである。研究集会では、自由主義、集産主義、進化思想、優生学などに焦点を当てて、イギリス、アメリカ、およびドイツ語圏の諸構想を比較検討した。(2)ハプスブルク崩壊後のオーストリーの経済政策を研究しているH.クラウジンガー助教授(ウィーン経済経営大学)の参加を得て、2005年1月に研究集会を開いた。経済そのものが本質的に不均衡を伴うという認識が広まり、政治的、経済的な安定のために政策的に経済を安定させる必要があると考えられ始めたのが1920年代であった。研究集会では、金本位制の行き詰まりのもとでの新たな国際的決済機構の模索なども伴いつつ、国際的な協調と緊張を伴った様相を比較検討した。 上記のように海外共同研究者をはじめ国内の研究者若干名の知識提供も得ながら、研究組織メンバー相互の議論のもとで、4年間の研究期間の残存3年のための調査計画を具体的に構想することができた。
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