2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末〜戦間期における経済思想の国際比較-経済社会の構想と経済政策のデザイン-
Project/Area Number |
16330036
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
深貝 保則 Yokohama National University, 経済学部, 教授 (00165242)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 啓子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80170083)
高 哲男 九州産業大学, 経済学研究科, 教授 (90106790)
中山 智香子 東京外国語大学, 地域文化研究科, 准教授 (10274680)
姫野 順一 長崎大学, 環境科学部, 教授 (00117227)
矢後 和彦 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (30242134)
|
Keywords | 有機的社会ヴィジョン / 中間組織 / 戦間期 / 社会正義 / 世紀末 / 国際金融秩序 |
Research Abstract |
この研究課題は19世紀末から戦間期に至る時期において、社会を経済的な観点から統括し、経済政策を支える思想がいかに変容したのかを国際比較を通じて検討するものとして遂行された。2007年度には、(a)Dr. Muriel Leroux (Ecole Normale Superieure,フランス)ら3名の海外研究者とともに、フランスにおける企業家精神と経営管理思想をめぐるワークショップを開催した。(b)経済思想における幸福概念の検討を行なっているDr Luigino Bruni(Milano-Biccoca,イタリア)らとともに、社会変容のもとでの幸福とウェルフェアのあり方をめぐって規範と財政など実態面との双方に配慮して検討するワークショップを開催した。(c)20世紀前半のブリテンにおける社会正義概念の展開と労働組合を中心とした中間組織の意義を検討しているDr Ben Jackson(Oxford,イギリス)、および戦間期における金融の変容のもとでの景気循環理論とともにオーストリアの経済統治思想を検討しているHansjeorg Klausinger(Wien,オーストリア)らを招いて、世紀末から戦間期にかけての中間組織の意味変容と有機的社会ヴィジョンの展開をめぐるワークショップを開催した。なお、各ワークショップの折には本研究組織メンバーも報告に加わった。 本研究課題は4年間の研究期間において、(1)産業社会の変容と統治の構想、(2)大不況期・大恐慌期の経済思想と国際金融秩序の再編、という2つの問題軸を中心に分析を行なった。対象とする期間においてとくに思想的な側面でいえば、有機的社会ヴィジョンの多面的な浸透と、優生思想や貧困線などに窺われる統計的な知の手法の活用に顕著な特徴を見出すことができる。
|