2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの個票データに基づくネットワーク外部性とスイッチングコストの分析
Project/Area Number |
16330044
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 辰雄 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (70236602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 啓希 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (00276396)
矢崎 敬人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員 (10345150)
村上 礼子 近畿大学, 経済学部, 講師 (30411565)
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Keywords | ネットワーク外部性 / スイッチングコスト / アプリケーションソフト / 離散的選択モデル |
Research Abstract |
本年度は昨年度に実施した調査データの分析を行った。その成果の一部は Reiko Murakami, "Network Effects and Switching Costs in the Japanese Market for VoIP," International Industrial Organization Conference, Atlanta, US Apr.2005 として学会に発表した。アプリケーションソフトについては学会発表ではなく研究会の形で中間成果の報告を行い、多くの示唆を得た。おおむね予想通りの結果で、スイッチングコストが定量的に測定でき、またそれなりに合理的な値になっていることが確かめられた。 しかし、同時にこれらの発表を通じて重要な疑問点が2点出された。(1)複数の調査で対象が違うとき(たとえばワープロと表計算)、得られた結果に必ずしも比較可能性がない、(2)アンケートに答える人の過去10年の記憶をたどっており、その記憶が正しいかどうかの検証が必要である。これらの批判点はもっともなものなので、本年度はこれらの批判点に答えるために調査を再設計し、それを実施した。再調査は次の2点からなされた。 (1)比較可能性を守るために、昨年度に調査した対象者にもう一度質問を行った。そのために去年依頼したのと同じ会社であるマイボイス社に委託して再度アンケート調査を行った。これにより、すべての対象を同じ変数で分析することができる。 (2)記憶が正しいかどうかは、実際の行動を比較することでチェックできる。そこで、一つの方法として、ネットレイティング社から、ユーザのウエブの利用履歴を入手し、スイッチングコストとネットワーク外部性を実際の利用履歴から推定することを試みた。ここで得た結果が記憶に頼るアンケートで得た結果と大差がなければ、我々の推定の信頼性は大きく向上する。 以上の再調査は、本年度の後半に実施され、データが入手できたのは年度末になってからである。現在、本年得られたデータと昨年のデータの照合を行っており、その成果を最終年度に報告する予定である。
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Research Products
(3 results)