2004 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける消費パターンの変化と中小・在来産業の展開:1860-1950年
Project/Area Number |
16330063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳澤 悠 千葉大学, 法経学部, 教授 (20046121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 高志 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70347516)
井坂 理穂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70272490)
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Keywords | インド / 経済史 / 社会史 / 消費 / 社会変動 / 所得 / 国際研究者交流 / インド:アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
1.(1)英国の大英図書館、SOAS図書館およびインドのBharatiya Vidya Bhavan図書館、ネルー記念図書館などで、19世紀後半以降のインドの出版物の流通と消費に関する資料を収集した。(2)19世紀半ばから20世紀初めにかけてインドの輸入マッチの主要供給地のスウェーデンを訪問し、王立図書館・国立文書館・マッチ博物館にて、インドへの輸入マッチおよびインド・マッチ産業に関する資料を入手した。さらに、インドのマッチ生産の拠点である南インド・タミルナード州にて、企業家から資料と情報を収集した。 2.すでに入手してある、インドの農業労働者の賃金統計をマドラス管区について入力し、分析した。また、1920年代から行われた、インド各地の「栄養摂取調査」の入力を、部分的に行った。 3.これらの作業から、仮説的であるが、次の知見をえることができた。(1)インド農業労働者賃金についての唯一の研究であるゴーシュによる推計は、その元となるデータの集計としては不完全であり、データのより適切な処理によって、1910年代以降の南インドについて農業労働者賃金の低下を主張するゴーシュの推計と異なって、その増大が予想される。(2)栄養摂取調査の分析から、下層階層においても、わずかであるが重要な食糧摂取の変化が検出できる。ヒエ・アワなどの旧来の主食に代わって米食が少しずつ増大し、さらに食用油や乳製品の消費も少しずつ増大したことが分かる。(3)20世紀初頭以降インドにおけるマッチや雑貨の消費は急速に拡大したが、その拡大にムスリム商人などの国際的な商業ネットワークが重要な役割を果たした。(4)19世紀後半以降、西部インドではパルシーによる出版活動が非常に盛んで、「大衆文学」にあたる小冊子出版物の流通・消費が広く見られた。
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Research Products
(2 results)