2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域ケア・システムの展開過程にかんする社会学的比較研究
Project/Area Number |
16330092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 彰 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90207960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 政広 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30187075)
徳川 直人 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (10227572)
菅原 真枝 東北大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50359501)
井出 知之 日本学術振興会, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地域ケア / 地域社会 / 高齢者ケア / 社会的ケア / 地域医療 / 地域福祉 / 地域社会学 / 福祉社会学 |
Research Abstract |
本年度の調査を進めるなかで、市町村合併の急速な進展が、地域ケア・システムのあり方に影響を与えつつあることが明らかになった。自治体合併と、地域ケア・システムの形成・展開とは、さしあたりは別の問題のはずである。地域ケアのシステム化は、それほど広くない範域で進められる必要がある。自治体が合併したとしても、合併後の自治体をいくつかのエリアに分割して、地域ケアのシステム化を進めることは可能であるからである。しかし、そのようなこころみは、調査した範囲内ではみられない。 宮城県栗原郡では、7町1村による広域合併がすすめられ、2005年4月に栗原市に移行する。栗原郡鶯沢町では、合併後を見越して、住民を巻き込んだ福祉施設づくりのこころみがなされている。地域に開かれた福祉施設づくりというこころみは、高く評価されるべきだが、地域ケアのシステム化という点においては、十分な成果をあげるまでにいたっていない。広島県三次市は、周辺の町村と合併をおこない、2004年4月より新しい三次市へと移行した。合併をした三次市君田町地域(旧君田村)での調査によれば、保健業務の指揮系統が本所に統一されたことなどにより、地域保健推進体制が後退し、君田支所管内での医療・保健・福祉の連携が弱体化するといった事態がみられた。旧君田村では、そのエリア内で医療・保健・福祉の連携がはかられてきたが、合併にともなう役所内の指揮系統の再編にともない、むしろ「縦割り」が復活し、地域ケア・システムにとって深刻な影響がもたらされた。
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