2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・グローバル都市における都市下層社会変容の国際比較研究
Project/Area Number |
16330094
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
文 貞実 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (20301616)
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Keywords | 都市下層 / グローバル都市 / ホームレス / 外国人労働者 / 台北 / マニラ / ソウル |
Research Abstract |
平成17年度は、4年間の研究期間の2年目として、昨年度に引き続き、予備的な現地調査を行いながら、数度の研究会を開催することで、分析の視点、枠組みや方法について検討を進めた。現地調査については、台北、ソウル、マニラで行なった。各都市における都市下層の実態や変容について、外国人労働者とホームレスに焦点を当てながら、状況把握に努めた。この作業においては、現地大学研究者、NPOなどの支援団体関係者から協力を得た。3都市のなかでは、ソウルの調査が一番進んだ。これは、現地の研究者や支援団体関係者とのネットワーク作りが順調に進んだことに起因している。また、韓国では、2004年度から正式に「雇用許可制」を制定して外国人労働者を受け入れ始め、外国人労働者問題で大きな変化が見られた。そのため、その状況把握を中心に調査する必要があるとの判断があったからである。主に韓国労働研究院と労働移住センターでの聞き取りと両機関刊行の現地語資料の検討をすることで、雇用許可制制定後約1年の状況が基本的に理解できた。マニラでは海外出稼ぎの近年の動向について調査した。 2年間の研究の成果と課題についての討論を経て、都市下層のうち、外国人労働者問題に焦点を当てた中間報告的な論文を、次年度の早い時期に作成することにした。東・東南アジアにおける労働力移動の理論的な問題、労働力受入国の入管政策の国際比較、韓国における雇用許可制の現状と課題が主要なテーマの柱になると考えている。この中間的なまとめ踏まえて、外国人労働者問題については、次年度の夏を中心に本調査を予定している。ソウルと台北におけるホームレス問題については、現地研究者などによる研究もまだ限られていることもあり、予備的な調査では部分的な事実の把握に留まっている。独創的な研究の可能性と方法について引き続き検討を続けていく。
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