2006 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・グローバル都市における都市下層社会変容の国際比較研究
Project/Area Number |
16330094
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
文 貞実 中部学院大学, 人間福祉学部, 助教授 (20301616)
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Keywords | 都市下層 / グローバル都市 / ホームレス / 外国人労働者 / 台北 / マニラ / ソウル |
Research Abstract |
外国人労働者問題については、日本、韓国、フィリピンに焦点をあてて調査研究を行った。台湾における外国人労働者に研究は次年度への持越しとなった。ホームレス、スクオッターに代表される都市下層については、マニラで集中的な調査を行った。韓国では、2004年に雇用許可制が制定された。この主な背景には、従来、労働力導入の窓口であった産業研修制度が多くの非合法移民を生み出してきたという問題がある。雇用許可制は、着実な労働力の導入と非合法移民の一掃を意図して制定されたものである。韓国調査では、主に外国人労働者自身によって設立された労働組合や外国人労働者支援組織からの聞き取りによって、雇用許可制制定後2年間の状況把握に努めた。雇用許可制制定と同時進行的に進められた厳しい摘発によって、非合法移民は一時減少したが、その後再び増加に転じた。この背景には、職業移動の制限、原則1年という雇用期間、雇用許可制の下で必要になった韓国語研修に多大な費用がかかること等、労働者に対する厳しい条件が関わっている。制度上の変化にもかかわらず、労働者の受入条件は本質的には変わっておらず、様々な問題を生み出している現状がある。その他、日本の非合法移民問題とフィリピンの海外出稼ぎ労働事情を調べた。 マニラの下層研究では、従来、スクオッターの住民に関する研究が大半であった。この基本的な理由は、膨大なスクオッター住民が都市下層の代表的な存在であったことによる。しかし、近年、スクオッターにも住めないホームレスの存在が注目されるようになっている。しかし、その実態はほとんど明らかになっていない。そこで、今年度マニラの調査では、ホームレスの実態把握に焦点を当てた。各種統計や聞き取りなどを通じて、マニラのホームレスの概数把握も試みた。加えて、ホームレスの増加とフィリピン経済のグローバル化との関連を追究した。
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Research Products
(1 results)