2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・グローバル都市における都市下層社会変容の国際比較研究
Project/Area Number |
16330094
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 Utsunomiya University, 国際学部, 教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
文 貞実 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (20301616)
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Keywords | 都市下層 / グローバル都市 / ホームレス / 外国人労働者 / 台北 / マニラ / ソウル |
Research Abstract |
今年度は、研究期間の最終年度に当たり、3年間の研究成果を総括しつつ、マニラやソウルなどで補足的な調査を行った。日本、台湾、韓国における下層社会研究で、ホームレス問題と外国人労働者問題を関連付けて理論的に解明しようとする研究がほとんど皆無な状況の中で、両者を有機的に統合して下層社会研究および下層社会を起点とするグローバリゼーション研究に新しい見地を開くべく、研究と打ち合わせを重ねた。この結果、外国人労働者問題(労働力移動)を軸にした東アジア下層問題の全体的な構造とその特性については、従来の移民研究、世界都市研究、グローバリゼーション研究が十分に解明してこなかった諸点が明らかに出来たと考えている。ただし、ホームレス研究については、フィリピンで比較的丹念な現実理解が出来たのに対し、台湾と韓国では、現地のホームレス研究が質量共に乏しい状況にあるなかで、本研究も独自な成果を挙げる段階にまでは到達出来なかった。こうした現状を踏まえ、最終成果報告書で、下層問題におけるホームレス問題の位置づけと理論的な考察をどの程度、どのように扱うかについて、一致するのに予想以上の時間を要した。このため、最終成果報告書の刊行は当初の予定より遅れることになった。最終報告書は、外国人労働者問題を軸とした下層問題の実証的・理論的な考察が主となり、ホームレス問題については、フィリピンに関する考察にほぼ限定される。ただし、フィリピンを対象とした研究は、ホームレス問題と海外出稼ぎ問題を統一的に捉えることを追究したもので、下層問題の理論的な解明に対して、新しい知見を提供する内容になっている。
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Research Products
(1 results)