Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 美佐 中央大学, 文学部, 助教授 (30292783)
岩佐 淳一 茨城大学, 教育学部, 助教授 (10232646)
浅岡 隆裕 立教大学, 社会学部, 助手 (10350290)
内田 康人 育英短期大学, 保育学科, 講師 (60389773)
島崎 哲彦 東洋大学, 社会学部, 教授 (00287559)
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Research Abstract |
今年度は,全国各地の地域情報化の先進事例と言われるものを中心にヒアリング調査を実施し,地域情報の制作・流通の全体的な新動向の把握につとめた.主な調査地としては,沖縄,鳥取,北海道,熊本,京都,新潟,愛知,岐阜,秋田,東京(実施時期順)である. このうち,沖縄では本島と周辺の宮古島,石垣島の3ヶ所の現地調査を行ったが,それぞれの地域特性に応じた地域意識(ローカリティ)や情報環境が現出していることを確認した.さらに住民グループが地域の話題や課題を取り上げた番組制作を行い,しかも本島での活動の場合はその時間枠の広告主を自分たちで探してくるといった興味深い事例が見られた. このような住民の放送への参画という動向は,熊本の「住民ディレクター」制度がその嚆矢といわれるが,近年,地域特性に応じ様々な形態をとりつつ,全国各地で取り組みが始まっている.その主体として期待が寄せられているNPO(特定非営利活動団体)として,京都,新潟,北海道,東京の事例を観察した.NPO京都三条ラジオカフェの場合は,住民が番組を制作し,それを放送し,「放送料」という名目でラジオ局にお金を払う.それが収益となっていくという運営モデルを確立した.これらは住民というアマチュア主体のメディア活動であり,これまでのプロの送り手と比較すれば内容面や技術面でのレベル差は明らかで,各地区ともに質の向上が模索されている. 地域で産出された情報を広域で共有していこうという動きも盛んである.鳥取県では県が敷設した「情報スーパーハイウェイ」という通信系インフラを使用してケーブルテレビ各局を結んだ地域情報網を構築し,県全体での地域情報化に役立てようとしている.これは県の情報政策部局主導で進んでいるが,実際に参画しているケーブル局でも温度差が存在し,各地域での制作された情報による地域活性化といった県全体の情報化という時の課題点として指摘できよう.
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