2006 Fiscal Year Annual Research Report
虐待により児童養護施設に入所した子どもの家庭復帰支援に関する研究
Project/Area Number |
16330120
|
Research Institution | Japan Lutheran College |
Principal Investigator |
加藤 純 ルーテル学院大学, 総合人間学部・臨床心理学科, 助教授 (80247105)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 雄次郎 ルーテル学院大学, 総合人間学部・臨床心理学科, 教授 (30141724)
|
Keywords | 子ども虐待 / 児童養護施設 / 家庭復帰支援 / リスクアセスメント / 家族再統合 |
Research Abstract |
虐待があって児童養護施設に入所した子どもと家族との再統合を目指した支援のあり方についてソーシャルワークの視点から検討を加えることを目的として、3年計画の最終年度に当たる2006年度は主として次の4点に取り組んだ。 1. 2005年度に実施した児童養護施設の施設長および職員への面接調査を通して、入所から家庭復帰までの保護者への関わり方の具体例が収集できた。面接の逐語録の分析を通して、保護者への関わり方の具体例が収集できた。また関わり方の背後にある職員の意図や判断過程について分析した。その結果、保護者を職員と共に子育てをする共同養育者として見なす側面と、支援対象として指導や助言をする側面があること、面接室だけでなく日常的なあいさっや立ち話が情報収集や援助に重要だと考えられていること、保護者に伝える言葉のニュアンスの重要性が認識され保護者の立場を理解し尊重した伝え方が工夫されていることなどが判った。家庭復帰に向けての支援の着眼点や力点は、各施設の方針や担当職員の家族観や援助観などによる多様性が見られた。 2.上記の知見について深めるため、本科学研究費補助金の研究に加えて、ルーテル学院大学学内研究奨励助成金により、児童養護施設長および家庭支援専門相談員5・6名による研究会を5回開催した。 3. 2005年度は、子どもへの虐待が起きた家族への援助方法にっいて社会構築主義の視点から検討したが、特に有望な援助方法と思われるナラティヴ・セラピーについて、その創始者であるマイケル・ホワイトが講師を務める研修会に参加して学んだ。虐待だけでなく、女性への集団的暴力や、民族間の暴力などに対しても実施され効果を上げていることが判った。 4.上記の論点を分析するのに必要な文献を収集した。特に、社会構築主義の視点に立つ研究方法およびナラティヴ・セラピーに関する文献を重点的に収集した。
|