2005 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける医療・福祉サービス連携による質確保と予算管理システムに関する研究
Project/Area Number |
16330123
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
杉崎 千洋 島根大学, 法文学部, 助教授 (60314613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (70316131)
中村 明美 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (20390180)
前田 美也子 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (50309027)
小野 達也 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (30320419)
児島 美都子 東京福祉大学, 大学院・社会福祉学研究科, 教授 (50295945)
|
Keywords | イギリス / 中間ケア / 早期退院援助 / 高齢者 / ソーシャルワーカー / 社会サービス / 地域連携 / 退院援助システム |
Research Abstract |
1.イギリス中間ケア現地調査と調査報告書の作成 イギリスにおける高齢者の病院から居宅・施設への移行システムとその後の生活支援システムの現状把握を、中間ケアを中心に行った。また、そこでのソーシャルワーカーの役割についても調査した。調査実施時期は平成17年9月、調査対象地域はシェフィールド市、ロンドン・ルーイッシャム区の2か所である。調査により、中間ケアの目標は、早期退院促進から、不必要な入院・施設入所の防止にシフトしてきていることが把握できた。その理由は、調査研究により、費用対効果などの点から見て、前者よりも、後者のほうが優れていることが明らかになったからである。 シェフィールド大学アラン・ウオーカー教授により、ソーシャルクオリティに関する研究報告を聞く機会も得た。この理論は、シャフィールド市における医療・福祉サービス全般のバックボーンにもなっている。同市における中間ケアは、ホリスティックアプローチを重視しているが、これはソーシャルクオリティ理論とも関連があると考えられた。本調査結果をまとめた現地調査報告書を作成し、ホームページ上でも公開する。 2.イギリス医療・福祉に関する最新動向の把握 現地調査実施前に、外部講師の講義、文献学習により、イギリスにおける福祉サービス評価、医療・福祉サービスの行財政の現状と問題点について学習した。前者については、福祉サービス民営化の促進と表裏一体の関係にあることが理解できた。後者については、虐待などの問題の深刻さを背景として、児童の福祉サービス予算は増加しているが、成人福祉サービスについては減少傾向にあることが理解できた。これにより、中間ケアが、福祉サイドではなく、主として医療サイドからすすめられている理由の一端を理解することができた。 3.病院の地域連携と医療ソーシャルワーカーの組織・業務の変化に関する追加調査の実施と調査報告書の作成 平成16年度に実施した広島・島根両県の全病院に対する病院へのアンケート調査、および愛知・静岡県などの7病院における事例調査のまとめを行った。後者に関しては、追跡調査を行い、病院の組織改編などに合わせて、医療ソーシャルワーカーが所属する組織も再編されている事例があることを把握した。これにより、医療ソーシャルワーカーはより一層、早期退院援助を重視せざるをえないことが分かった。これらの結果より、今後の医療ソーシャルワーカー業務、とくに退院援助業務を効果的・効率的に行うには、患者支援のための院内システム、院外ネットワークの構築が有効であることが判明した。本調査結果をまとめて報告書を作成し、ホームページ上でも公開する。
|
Research Products
(3 results)