2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己、他者、集団、社会の重層的関係についての行動科学的検討
Project/Area Number |
16330128
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浦 光博 広島大学, 総合科学部, 教授 (90231183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 紀夫 広島大学, 総合科学部, 教授 (70154789)
市橋 勝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10223108)
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00235152)
長谷川 孝治 信州大学, 人文学部, 助教授 (20341232)
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Keywords | 個人内過程 / 集団過程 / ネットワーク / ソーシャルキャピタル / マクロ経済データ / 文化的自己観 |
Research Abstract |
大きく5つの研究が行われた。第1に、自尊心への脅威が集団表象ならびに内集団同一視を仲介して個人の適応に影響を及ぼす一連の影響過程の分析である。この影響過程における集団表象と内集団同一視の仲介効果のパターンが個人の持つ自己観によって調整されることが示された。第2に、個人の自己観についてのより詳細な検討である。Cross et al.(2000)の開発した関係的-相互依存的自己観尺度の邦訳版を作成し、その妥当性・信頼性を確認した後、相互依存的自己観尺度、間人主義尺度、集団主義尺度等との関連を検討した。なお、この研究においては文化人類学的なアプローチから重要な示唆を得ている。第3に、ネットワーキングスキル尺度の開発である。他者との出会いから特定の対人関係が形成してゆく過程で、その他者との間に強い紐帯を形成しようとするのか、弱い紐帯を形成しようとするのかを判断し、自身にとってよりよいネットワーク環境を形成してゆくにはいかなるスキルが必要なのかについて概念的な検討を行い、それらのスキルを測定するための尺度を開発した。第4に、ソーシャルキャピタルの犯罪抑制効果に関する調査研究である。広島県民2483名を対象とした調査によって、(1)一般的信頼(個別的信頼ではなく)の高い県民ほど、居住地域内での地縁的活動、ならびに居住地域を越えた種々の市民活動等に積極的に参加していること、(2)個人としての地縁活動、地域間活動への参加は地域内での治安維持活動への参加にプラスの影響を与えること、(3)地縁活動、地域間活動ともに活発ではない地域、あるいは両活動ともに活発な地域の双方において、インターネットによる犯罪・防犯情報の取得への積極性が住民の治安維持活動の頻度を高めること、が示された。第5に、経済学的なアプローチとして、加工マクロ経済データの構造変化検定を行った。長期的な社会変動の分析のためには時系列データの分析は不可欠である。しかし、我が国においては2000年にマクロデータの統計基準の移行が行われたため、時系列データの断続が起こっている。この断続による不都合を解決するための合理的な加工方法について探索的な検討が行われた。
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Research Products
(1 results)