2005 Fiscal Year Annual Research Report
情動の抑制と表出が心身に及ぼす影響に関する健康心理学的研究
Project/Area Number |
16330136
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大平 英樹 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (90221837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余語 真夫 同志社大学, 文学部, 助教授 (90247792)
佐藤 健二 徳島大学, 大学院人間・自然環境研究科, 助教授 (10318818)
河野 和明 東海学園大学, 人文学部, 助教授 (30271381)
湯川 進太郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60323234)
磯和 勅子 三重県立看護大学, 看護学部, 助手 (30336713)
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Keywords | 情動 / トラウマ / 抑制 / 表出 / 脳 / 健康 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行った. 1.陽電子放射断層撮影法(PET)による,ストレス刺激の認知的評価に伴う脳活動と身体生理反応との関連を探求する実験的研究を行った(大平・野村・磯和).11名の被験者にストレス刺激を負荷し,それが対処可能か対処不能であるかを操作した.対処不能状況では,脳の眼窩野,内側前頭前野に顕著な賦活が観測され,しかもその賦活の程度が,自律神経系,内分泌系,免疫系の変動と強く相関していた.この結果により,これらの脳部位が感情反応を認知的・トップ・ダウン的に制御する神経基盤であることが示唆された. 2.トラウマ体験の筆記による表出が,ワーキング・メモリなどの認知機能に与える影響について実験的研究を行った(余語・佐藤・大平).トラウマの筆記は一ヶ月後のワーキング・メモリ要領を有意に改善し,認知機能を高めることが示された.その効果は,問題焦点的に解決方法について筆記した場合により顕著になることが示された. 3.日常的な感情抑制行動(河野),及び日常的な怒り体験(湯川)についての質問紙調査研究を行った.感情抑制行動は,不適応感や主観的な不健康感に関連していることが示唆された.また,怒り体験はいくつかの時間的段階に分類でき,その段階によって有効な対処方略が異なることが示唆された. 4.アメリカの著名な心理学者,神経科学者である,Joseph Smyth博士(シラキュース大学)とGreg Siegle博士(ピッツバーグ大学)を2005年5月に招聘し,感情研究に関する共同セミナーを開催した.本科学研究費により遂行中の研究について意見交換を行い,将来の共同研究について討議した.
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Research Products
(5 results)