Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
余語 真夫 同志社大学, 文学部, 助教授 (90247792)
佐藤 健二 徳島大学, 大学院人間・自然環境研究科, 助教授 (10318818)
河野 和明 東海学園大学, 人文学部, 助教授 (30271381)
湯川 進太郎 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (60323234)
磯和 勅子 三重県立看護大学, 看護学部, 助手 (30336713)
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Research Abstract |
1.陽電子放射断層撮影法(PET)を用いて,ポジティブ感情に伴う脳活動と身体生理反応との関連を探求する実験的研究を行った(大平・野村・磯和).12名の被験者に好きな異性の映像を視聴させることによりポジティブ感情を喚起した.その結果,脳の眼窩野,内側前頭前野,腹側線条体などに顕著な賦活が観測され,しかもその賦活の程度が,ドーパミン分泌や免疫細胞の一種であるNK細胞の活性と相関していた.この結果により,ポジティブ感情の経験に伴う脳と身体の機能的関連が示唆された. 2.本年度は過年度までに実施した本研究課題に関連する実験・調査結果を学会で発表した(余語).内容は,社会的共有相手の選択理由,トラウマ的体験の筆記とワーキング・メモリ機能,D.Wegnerの思考抑制傾向測定尺度の日本語版の作成,思考抑制と記憶,である. 3.日常の怒り感情の日記式筆記開示が,心身の安定と健康の増進へ及ぼす効果を検証した(湯川).13名の大学生を実験群・統制群・偽薬群に配置し,実験群には4週間に渡って怒り経験を筆記させた.その結果,統計的に有意ではなかったものの,筆記群において,ワーキング・メモリの増大・ネガティブな反すうの低減・怒りの持続しやすさの低減などがみられた.日記式筆記開示により,感情を制御する力や心身の健康が向上する可能性が示唆された. 4.否定的情動の言語化抑制傾向が親密な他者によって推定可能かを検討した(河野).同性の友人22組に,抑制的会話態度尺度,BigFive尺度について自己評定を求めた後,同一の項目について友人がどう答えるか推定を求めた.その結果,開放性や調和性はほとんど推定できない一方,抑制的会話傾向は,外向性,情緒不安定性,誠実性と同程度によく推定された.このことから,否定的情動の言語化抑制傾向はわかりやすい性格特性と同程度に推定されやすい特性であることが明らかになった.
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