2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の視触機能低下とその補綴に関する研究-プロダクティブ・エイジングのために-
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16330145
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
和氣 洋美 神奈川大学, 人間科学部 (2006年度より人間科学部), 教授 (80122951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 典二 中京大学, 心理学部, 教授 (20125818)
北原 健二 東京慈恵会医科大学, 眼科学講座, 教授 (80056853)
清水 豊 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50231733)
中野 泰志 慶應大学, 経済学部, 教授 (60207850)
岡島 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教授 (60377108)
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Keywords | 高齢者 / 視覚 / 触党 / 視触交互作用 / 視機能低下 / 補綴 / QOL / プロダクティブ・エイジング |
Research Abstract |
視覚,触覚および視触交互作用班: 1.高齢者の視認性を測定する新しい方法を提案した。それは、一定の視環境のもとで紙面に印刷された一連の文字を被験者は見ながら実験者が支持した文字を読み取るという簡便な方法である。高齢者にこれを適用して照明状況を変えると、正答率が高くなっても読みやすさという心理評価は低いが、若年者は正答率が高くなると評定値も高くなるという差異を見出している。さらに、水晶体の加齢変化が色の見えや色弁別にどのように影響するかを理論的に検討した。同時にこれが視覚誘発電位P300に加齢に伴って遅れがでることを示した。また、これらの知見の実用化に向けて、視機能が低下したときの階段やエスカレータの利用時の安全性を検討している。 2.変化の見落とし課題を視野制限状態で検討した。同時にそのときの眼球運動をアイリンクで測定した。その結果、視野が小さくなるとholdの値も小さくなる。触覚と比較すると、視野が直径0.5°が触覚に相当することを指摘した。また、視野が制限されると、逐次探索が顕著になり、触覚の手の動きと似てくることが指摘された。若年者と高齢者に変化の見落とし課題(change blindness)を視覚と触覚をとおして与えると、両モダリテイとも反応時間や処理時間に顕著な差異が現れることを指摘した。それは触覚で顕著に観察された。そこで、Rensinkに従ってholdを算出すると、視覚と触覚においてholdが小さくなること、加齢に従ってholdの値は小さくなることを示してきた。他方、触覚と視覚におけるパターン認知の研究から触覚認知は視覚認知の約2.8倍の時間がかかり、空間次元では、3.1倍が対応することを示した。これらは触覚による代行の視覚情報のエンコード法の基礎になる。 3.本年度では、眼科外来の問診票(高橋)と筆者らの作成した日常行動質問票を用いて、視力0.7以上の健常高齢者と視力0.3以下の高齢ロービジョン者のQOLを調べた。その結果、問診票では、4因子が抽出された。第1因子は郵便物を読むなどの視認性因子、第2因子は食べ物を買いに出るなどという外出行動因子、第3因子は縫い物をするなどの家事因子、第4因子はまぶしさ因子である。他方われわれの質問法では、第1因子が衣服の着脱に関する身の回り因子、第2因子は食事の後片付けなどの家事行動因子、第3因子は雨天歩行などの視認性因子である。これらはSF-25の視覚関連QOLテストと一定の関連があることが指摘されている。
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Research Products
(6 results)