2006 Fiscal Year Annual Research Report
日独比較による戦前・戦時・戦後教育学の連続性と非連続性
Project/Area Number |
16330153
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂越 正樹 広島大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80144781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 恭司 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (30253040)
田代 尚弘 茨城大学, 教育学部, 教授 (60106739)
木内 陽一 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (60204822)
藤川 信夫 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教授 (10212185)
山名 淳 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80240050)
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Keywords | 教育学 / 教育史 / ドイツ / 戦時下教育学 / 教育改革 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年にあたり、3年間の研究成果の全体的なとりまとめを中心に計画を実施した。分担研究の成果を集約する研究打合会を開催し、成果を関連専門学会において口頭並びに論文として発表した。 1.分担研究の成果:研究代表者・坂越は1920年代から1960年代の日独の教育学を比較分析し、教育学者の人的連続性を明らかにした。丸山は米国に亡命したドイツ・フランクフルト学派の視点から戦後の再教育の様相を解明した。田代はドイツ・ディルタイ学派がナチズムに接近する思想的背景を解明した。丸山、田代の研究成果は学会論文として公表している。木内はドイツで補完的資料調査を実施し、特に旧東独側での教育学の歴史的転換を解明した。藤川は戦前の優生学的研究が戦後の日本の教育に連続することを明らかにした。山名は戦争の過去記憶問題について日独の比較研究を行い、成果を独語論文で公表した。 2.全体的成果:日本軍国主義期、ドイツナチズム期をはさむ日独の教育学比較分析の結果、大勢としては教育学者とその思想の連続性が確認された。戦後の平和・民主主義教育への転換を提唱する立場にあっても、その根源を戦前の教育と教育学に求めており、社会の近代化に対する反応として生起した教育学と軍国主義、ナチズムを単純な二項対立図式で捉えて、その構造的同型性を認識する論理には欠けていたことが明らかになった。 3.成果の公表:教育学関連学会等において発表したほか、研究代表者、研究分担者、海外共同研究者(Klaus-Peter Horn)を編著者とする著書"Paedagogik im Militarismus und Nationalsozialismus ; Japan und Deutschland im Vergleich"(Bad Heilbrunn,2006)を公刊した。
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Research Products
(7 results)