2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本の伝統的なリズムの学習に関する基礎的研究-語られる言葉から歌われる言葉へ-
Project/Area Number |
16330180
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥 忍 Okayama University, 教育学部, 教授 (70031565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 敦子 広島大学, 大学院・研究科, 准教授 (70289247)
HERMANN Gottschewski 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (00376576)
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Keywords | 言葉のリズム / モーラ / 等時・等拍性 / 朗読 / うた / 日本伝統音楽 / 民謡・わらべうた / アンデンティティ |
Research Abstract |
研究の完成年度として、3度の研究会を開催してこれまで行った研究成果について検討と補足をした上で報告書の形で総括をした。本研究の目的は以下の3点であった。 1)日本伝統音楽や民俗音楽における拍とリズムについて,これまで前提とされてきた等時・等拍性の妥当性を音響分析によって問い,音楽の拍とリズムの特質を言葉との関係において明らかにしようとする試みである。具体的には,「語る」段階から「歌う」段階までのさまざまな(音楽的)表現におけるリズム操作をモーラの視点から分析した上で,より複雑なリズム操作の段階への展開の道筋を明らかにする。 2)明治期以降の日本の状況を歴史的な視点から広く捉え、既存の民謡やわらべうたと、新しく生まれた歌の双方について、日本語との関係、西洋音楽との関係を中心に、「語られる言葉から歌われる言葉へ」というテーマのもとに考察する。 3)指導要領の改訂によって日本の音楽が積極的に導入されるようになった学校教育においては,和楽器を用いて西洋音楽を奏することが広く行われるようになった。しかし、このような表面的な混合は、返って若者の日本音楽独特のリズム感を喪失させることにつながるのではないか。日本の音楽で中心的な位置を占めている声による学習を開発する。 これらの目的を実現するために、本研究では数多くの研究者、学生の協力を得ている。そこで、それらを含めて本研究の成果を以下のような形で提示した。 第1部「忘れられたアイデンティティ」:日本音楽をめぐる教育の場の現状を3つの角度から明らかにした。。 第2部「潜在する音楽的アイデンティティ」:日本音楽・芸能におけるリズムを対象とした実験研究を行い、口上や朗読、伝統音楽にみられるリズムの特質について分析を行う。また、学生の表現の分析によって、その中に伝統芸能のリズム操作と共通する要素が含まれていることを明らかにした。 第3部「近代日本の歌における日本語の捉え方」:第1部や第II部で浮上した問題について歴史研究の手法でアプローチした。近代日本における日本語による歌の捉え方、音楽要素に着目した日本語指導などについて扱った。 第4部「音楽的アイデンティティの再認識」:言葉と音楽との関係に着眼した授業の開発とその成果の検討。 日本音楽の学習に関する客観的で分析的な理論研究の裏付けをもつ実践的な研究が必要とされるため、方法の異なる実践例を検討し、例示した。全185頁の内容は以下のとおりである。 I 忘れられたアイデンティティ 1.小学生と中学生に見る日本伝統音楽に対する姿勢 2.教員養成関係学部における日本音楽の動向 3.現代の若者にとっての日本音楽-大学院生のレポートに見る日本音楽- II 潜在する音楽的アイデンティティーリズムを中心に- 1.香具師の立ち売り口上におけるリズム操作-「がまの油売り」の場合- 2.「何は何して何とやら」におけるリズム操作-茂山千之丞による7つの演じ分けを基に- 3.日本の伝統芸能のリズム-共通詞を用いた伝統芸能の音声分析- 4.朗読と歌唱のリズムの類似度を定める方法についての考察 5.音楽教育専攻学生に見る伝統芸能的な語感-歌舞伎風「名乗り」のリズム分析- 6.金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の朗読におけるリズム(1)-行と行間、連間に焦点をあてて- 7.金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の朗読におけるリズム(2)-行間と連間の感受に焦点をあてて- 8.金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の朗読におけるリズム(3)-詩の初見と再読による「間」の取り方- 9.詩の朗読から歌うことヘー詞を詠・唱・歌う- III近代日本の歌における日本語の捉え方一西洋音楽との関わりから- 1.「国の子ども」を定義する一近代日本子ども音楽の三つの場面- 2.音楽教育と外国語教育の接点一語学教育における歌唱のすすめ- 3.民謡・わらべうたの特質と西洋音楽`(1)-兼常清佐の言説を中心に- 4.民謡・わらぺうたの特質と西洋音楽(2)-高野辰之の言説を中心に- 5.民謡・わらべうたの特質と西洋音楽(3)-わらべうた教材の分析をとおして- IV音楽的アイデンティティの再認識一声と言葉による学習の開発- 1.言葉のリズム学習としてのヴォイス・プロダクション-「お祭り」の創作学習 2.香川の民話・民謡・方言を用いたミュージカルの創作-小学校低学年向け「狼の眉の毛」- 3.オノマトペによる音楽創作-ヴォイス・プロダクション『のでのでので』- 4.讃美歌から生まれた歌唱教材-「星の世界」に見る歌詞の変遷- 5.体験学習「歌舞伎の表現」-内在する伝統的なリズム感に気づく授業
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Research Products
(5 results)