Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 茂之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70011674)
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50192654)
斎藤 恭司 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20012445)
寺尾 宏明 北海道大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (90119058)
三町 勝久 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40211594)
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Research Abstract |
本年度は,反復積分の理論のループ空間への応用と,位相不変量の構成についての成果を挙けた。具体的には,配置空間のループ空間のホモロジーの代数構造を研究し,応用として,リンクホモトピー不変量を配置空間のループ空間のド,ラム コホモロジーを用いて組織的に記述する方法を与えた。また,有理数体上定義されたドリンフェルト結合子を援用して,組みひも群の有理数体上定義された代数への普遍的な表現,有理数に値をもつ,有限型不変量に関する研究を行った。また,局所系係数のホモロジー群の作用として与えられる組みひも群の表現と,KZ方程式のモノドロミー表現との関係を記述した。特に,リーマン球面上の共形場理論における共形ブロックの空間の基底を,超幾何積分による表示によって与えた。ここで,積分を行うサイクルは局所系係数の正規化可能なサイクルであることを明らかにした。反復積分のその他の応用として,双曲単体の体積をシュレフリと青本の方法を用いて対数微分形式の反復積分によって表現した。また,この記述によって体積関数がモジュライ空間上満たす微分方程式を求め,体積関数のモジュライ空間の境界上での漸近挙動を考察した。このような研究により,対数微分形式の反復積分の幾何学への応用について新たな知見が得られた。森田は写像類群のコホモロジー群の構造に関する研究を発展させて,そこで培われた手法を,グラフのモジュライ空間,自由群の自己同型群のコホモロジーなど新たな研究対象への応用を進めた。寺杣は反復積分と多重ゼータ値について,数論幾何学の手法による研究を行った。斎藤は,周期積分の理論における原始形式の研究をさらに発展させ,特異点に対する連接層のなす導来圏の構造を考察した。寺尾は超平面配置の理論の研究の数理経済学への応用,とくにアローの不可能性定理の幾何学的な拡張に成功した。三町はセルバーグ型の積分を対象として,局所系係数のホモロジーの交差形式を用いたジョーンズ多項式の新しい解釈を与えるなど重要な成果を挙げた。
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