2007 Fiscal Year Annual Research Report
2次元結び目解け予想の解決と数学の真髄の初等的探究
Project/Area Number |
16340017
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 堯生 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (50025467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 聖一 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60254380)
松本 幸夫 学習院大学, 理学部, 教授 (20011637)
上野 健爾 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011655)
若木 宏文 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90210856)
永井 敏隆 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40112172)
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Keywords | 2次元結び目 / 2次元ブレイド / マルコフ型定理 / チャート表示の変形 / カスプ / トポロジー / 初等的方法 / 歴史的探究 |
Research Abstract |
結び目が解けるための必要十分条件は、2次元滑らか結び目以外に関しては既に良く知られている。本研究は2次元滑らか結び目に対しても同じ条件、つまり補空間のホモトピー型が自明な場合と同じという条件が、結び目が解けるための必要十分条件であることを示そうというものである。さらに、その初等的手法による解決を契機として、研究分担者とともに数学の真髄の初等的探究を行おうという試みである。 自明な結び目との間に交点を許した2次元結び目の1-助変数族を構成することができ、それを2次元結び目の1-助変数族に変換するマルコフ型定理は、研究分担者鎌田の手法を少し拡張することで証明できる。一方、こうしてできた特異2次元ブレイドの1-助変数族をチャート表示することも素直に安定化とその逆を許して変形すればよいことが昨年度から判明していた。今年度は交点が最高次の自明線分の内部にあるように安定化を図った後、その自明線分をカスプの直前まで下げられることを確認した。つまり、交点数は1つで、交点以外の頂点は固定して交点だけが他の頂点の周りを回りながら下がり再びカスプによって交点が解消するという状況に帰着する。この状況を松本幸夫-鎌田の方法によって、平面上のグラフ表示に直し、カスプによって交点が再び解消するという条件をブレイド群およびその生成元から生成される自由群の語によって表現する。そして、各ステップを取り除く代わりにそこまで交点のトレースが並行して戻るというテクニックを駆使して、カスプで交点を解消した結果が自明なブレイドになることを証明するという筋書きで2次元滑らか結び目の解け予想を解決することができた。 上のように研究題目の前半は論文執筆を待つばかりである。数学の真髄の初等的探究に関しては、現代数学の初等的手法による研究の推進に加え、今年が関孝和没後三百年ということもあり行列式と和算の研究の歴史を探究し成果を挙げることが出来た。
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