2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 亮 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (60153657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
儀我 美一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (70144110)
長山 雅晴 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (20314289)
野々村 真規子 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (20333320)
三村 昌泰 明治大学, 理工学部, 教授 (50068128)
上山 大信 明治大学, 理工学部, 講師 (20304389)
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Keywords | 多結晶 / フェーズフィールド / 特異拡散 / 等長埋め込み / 回転群 / 粒界 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、方位空間をSO(3)にとれる場合(結晶構造に対称性がない場合)に関してはモデルの構成、シミュレーションともに可能であることがわかった。しかし、通常は結晶構造には対称性が存在し、そのことを考慮に入れる必要がある。基本的には、結晶方位を表現するための空間は、SO(3)を結晶構造の持つ対称性を表す有限部分群で割った等質空間となるが、我々のモデルでは、この等質空間に値を持つ特異拡散方程式を考える必要がある。このモデルを用いて現実にシミュレーションを行うために、この等質空間を何らかのユークリッド空間に埋め込むことを検討した。この埋め込みは等長でなければならない(そうでなければ、方位間の距離が等しいのに、表現空間の中での距離が異なるといった事態が生じる)。本年度は、幾何の専門家と議論を行いつつ、この等長埋め込みの可能性を追求したが、対称群が小さい(通常の結晶構造に対応する回転群は位数の小さな部分群である)場合、等長埋め込みを構成すること自体が困難なのではないかということがわかってきた。残念ながら、現段階では方位空間をユークリッド空間に等長に埋め込むことはできていない。この方針でシミュレーション可能なモデルを構築することが原理的に難しいとしたら、表現空間における(特異)拡散の計算を何らかの工夫によってうまく行わなければならない。現在、この方法を模索中である。 最終的な完成にはいたらなかったが、本研究で開発された多様体に値をとる方程式のシミュレーション技法(埋め込み法)は十分な一般性を持っている。また最近、本研究で開発されたモデルをベースに、卵割の過程を表現するモデルを提案し、生命科学における細胞の数理的表現に結びつきつつある。
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Research Products
(9 results)