2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球科学に現れる流体方程式の流れパターン形成-力学系の視点からの数値解析的研究
Project/Area Number |
16340023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 道夫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90166736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
竹広 真一 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (30274426)
余田 成男 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30167027)
林 祥介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20180979)
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Keywords | 回転流体力学 / ベータ面近似 / 地球流体力学 / 西岸強化流 / ロスビー波 / 不安定周期軌道 / 角運動量輸送 / カオス |
Research Abstract |
昨年度に引き続き回転球面上の流体方程式の数値解析を行うと共に、力学系における不安定周期軌道に沿う物理量の軌道平均値の統計性質を調べた。回転球面上の円領域の中心が極にあり、入出流量が強制力として与えられている場合については、従来線形定常解が知られていたが、ここではNewton法を用いて非線形定常解を求め、入出流量を増加させたときの解の安定性について数値解析を行って、解の分岐とそれによって生じる非線形定常流の流れパターンを調べた。分岐後の流れは、線形解のような急激な流れ方向の変化を伴わず極域付近に閉じた渦を形成することが見出された。また近年、流体系の乱流状態における物理量の平均値が極く少数の不安定周期軌道の軌道平均値によって非常によく近似されることが指摘されているが、このような近似が成立する理由を明らかにするため、いくつかの少数自由度カオス力学系について、非常に多くの不安定周期軌道を数値的に求め、それらの軌道に沿った軌道平均値の分布が、軌道の周期とどのような関係にあるのかを調べた。最も簡単な場合として複数の1次元写像系について百万以上の不安定周期軌道を求めたが、いくつかの常微分方程式系についても数百のオーダーの不安定周期軌道を数値的に求めて、それらの軌道に沿う軌道平均値の統計的解析を行った。その結果いずれの系においても、軌道平均値の分布密度関数は、軌道周期が大きくなるにつれてある一定の分布密度関数に収束する傾向が見出された。この結果は、カオス系では任意に不安定周期軌道を選んだとき、それに沿う軌道平均値がカオス平均の良い近似である確率が軌道の周期に依存しない可能性を示唆しており、近年の流体系における結果を部分的に説明すると考えられる。
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Research Products
(6 results)