2006 Fiscal Year Annual Research Report
予測理論的新手法およびタウバー型定理の展開と記憶を持つ確率過程の確率解析への応用
Project/Area Number |
16340030
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 昭彦 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (50168431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中路 貴彦 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (30002174)
笠原 雪夫 北海道大学, 大学院理学研究院, 学術研究員 (10399793)
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Keywords | 予測理論 / 直交多項式 / Verblunsky係数 / 長時間記憶 / 記憶を持つ金融市場モデル / 効用等値価格 |
Research Abstract |
(1)井上と笠原は、Pourahmadiとの共同研究で、有限次元の双対性の概念を導入し、その存在と性質を証明した。また、これを用いることにより、データに欠損がある場合の予測理論に関するKolmogorov、Yaglom、中路などによる様々な結果を統一的に説明し、また新しい結果を得た。 (2)井上と笠原は、Binghamと共に単位円上の直交多項式の理論の立場から、長時間記憶の新しい概念とそれに基づく結果を得た。これによれば、これまでの共分散関数の可積分性による定義では長時間記憶とされなかったものが、長時間記憶と分類されることもある。典型的な例がFARIMAモデルである。井上たちは、この新しい定義に基づく、FARIMAモデルでパラメータdが負の場合の新しい結果を示し、またそれに対する解釈を与えた。その際に、直交多項式におけるVerblunsky係数などの基本的な量に関するMAおよびAR係数による表現定理を効果的に用いた。 (3)井上は、Anhと共に自身で導入した連続時間定常増分過程のある長時間記憶モデルに対し、離散時間の有限次元予測における表現定理の類似物を適用し、その係数に対するBaxterの不等式の類似物を証明した。この不等式は、離散時間の長時間モデルに対しては、井上と笠原により示されていたが、連続時間モデルに対する結果としては、初めての結果と思われる。これは、有限次元予測においてデータの数が増大していくときに、予測係数の一様収束性に関する情報を与える。 (4)井上は、福田、中野との共同研究により効用等値価格に関する新しい理論を展開し、それに基づく金融商品や保険商品の価格付けに関する種々の結果を得た。特に、指数効用の場合に新しいタイプの結果を得た。 (5)井上は中野と共に、記憶を持つ金融市場モデルにおける自身の長時間最適投資問題の結果を拡張した。そこでは、volatilityの期間構造が以前の場合とは異なり、単調増大の場合を許す。その際、Riccatiタイプの方程式の解の存在を示すことが鍵になる。
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Research Products
(8 results)