2004 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙でのダストの進化とその宇宙背景輻射および天体形成への効果に関する研究
Project/Area Number |
16340051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笹 隆司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90263368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽部 朝男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90180926)
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Keywords | 初期宇宙 / 超新星 / ダスト / 種族II天体 / 銀河 / 減光曲線 / SED |
Research Abstract |
本年度行った主な研究は以下である。 (1)種族III超新星爆発時に形成されたダストの初期宇宙星間空間での破壊シミュレーション。 超新星爆発時に形成され星間空間に放出されたダストは他の超新星爆発によって発生した星間衝撃中で熱的・非熱的パッタリングにより破壊される。種族III超新星爆発時に形成される様々なダスト種のスパッタリングイールドの実験および理論データを集約し、ダストのサイズ分布を考慮して破壊シミュレーションを行った。その結果、ダストの破壊効率は、ダスト種の違いだけでなく、サイズ分布の違いに著しく依存することが判った。これらの計算結果は天文学会や国際シンポジウム等で発表された。 (2)宇宙初期でのダスト進化モデルの構築 種族III型超新星爆発時でのダスト形成イールドを基にダストの破壊のタイムスケールをパラメーターとして標準的なA-CDMモデルを用いた簡単なクローズドボックスモデルを構築した。Mackey(2003)による種族III星の星形成率と期待される3種類の初期質量関数を用いて初期宇宙でのダストの存在量を計算した結果、赤色偏移zが20以上では、ダストの破壊による影響がほとんどなく、種族IIIから種族IIへの転移がかなり早い時期に起こることがわかった。これらの計算結果は国際シンポシンポジウム等で発表され、現在投稿準備中である。 (3)若い銀河のダスト減光曲線およびスペクトルエネルギー分布 種族III超新星爆発時でのダスト形成計算結果をもとに、高赤方偏移銀河で期待されるダストによる減光曲線を計算し、また、観測で得られたz=6.2のクェーサーの減光曲線を再現した。この結果はHirashita et al.(2005)として学術雑誌に発表された。また、スペクトルエネルギー分布も計算され、Takeuchi et al.(2005)として現在投稿中である。 また今年度、海外協力研究者であるDr.E.Dwek(NASA Goddard Space Flight Center, USA)を招聘し、超新星残骸でのダスト破壊の研究討議を行った。また、Prof.K.Suh(Chunbuk National Univ.Korea)を招聘し、AGB星でのダストに関して研究討議を行った。
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Research Products
(3 results)