2005 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙でのダストの進化とその宇宙背景輻射および天体形成への効果に関する研究
Project/Area Number |
16340051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笹 隆司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90263368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽部 朝男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90180926)
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Keywords | 初期宇宙 / 種族III超新星 / ダスト / 星間衝撃波 / リヴァース衝撃波 / 超新星残骸 / 赤外線スペクトラム |
Research Abstract |
本年度行った主な研究は以下である。 (1)宇宙初期の星間衝撃波によるダスト破壊タイムスケールの評価 種族III超新星爆発時に形成された各ダスト種に対して、星間衝撃波による破壊効率の前駆星の質量、爆発エネルギーおよび星間ガス密度依存性を系統的に調べた。その結果、破壊効率は前駆星の質量に余り依存せず、爆発エネルギーのべき乗に比例し,星間ガス密度が大きくなるに従い大きくなる事等を明らかにし、得られた結果に基づいて、各ダスト種の破壊タイムスケールの解析的な式を導出した。これらの成果は論文としてまとめられ、近日中に学術雑誌に投稿される予定である。 (2)リバース衝撃波によるダストの破壊。 超新星爆発時にejecta中で形成されたダストは、ejectaが星間ガスと衝突した際に発生するリヴァース衝撃波によって破壊されることが期待される。これまで、リバース衝撃波によるダストの破壊はほとんど研究されていなかった。種族III超新星爆発およびダスト形成モデルに基づいて、リバース衝撃波による破壊計算を行い、(1)リバース衝撃波がダスト形成領域に達するのは爆発後6千年後程度である。(2)ejecta中ではダストとガスの質量比が大きく、ダストからの熱輻射によるガスの冷却が利く。(3)爆発時に形成されたダストの質量の約半分がリヴァース衝撃波によって破壊され得る事等を示し、成果は学会等で発表された。 (3)Cas-A超新星残骸中のダスト SpitzerによるCas-A超新星残骸観測チームのメンバーとして観測結果の解釈を行った。その結果、超新星残骸中のダストによる赤外線スペクトルは形成領域の元素存在度を反映して少なくとも3種類に区別されること等が明らかにされた。成果は学会等で発表され、現在投稿論文を準備中である。 また今年度は、Prof.T.Henning(Max-Planck Institute for Astronomy, Germany)とProf.J.Blum(Technical University of Braunschweig, Germany)を招聘し、星間空間中でのダストの物理化学進化についての研究討議を行った。
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Research Products
(3 results)