2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙でのダストの進化とその宇宙背景輻射および天体形成への効果に関する研究
Project/Area Number |
16340051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笹 隆司 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (90263368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽部 朝男 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (90180926)
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Keywords | 初期宇宙 / 超新星 / ダスト / リヴァース衝撃派 / 超新星残骸 / 宇宙背景輻射 |
Research Abstract |
今年度は主に以下の研究を行った。 (1)超新星残骸中を伝播するリヴァース衝撃波によるダストの破壊 エジェクタが星間物質と衝突した際に発生するエジェクタ内部に伝播するリヴァース衝撃波によるガスの温度と密度の時間変化およびダストの運動とスパッタリングによる破壊を取り扱い、種族III超新星爆発時にエジェクタ中で形成されたダストの進化および星間空間に放出されるダスト量の爆発エネルギーおよび星間空間のガス密度依存性を明らかにした。サイズが0.2ミクロン程度より大きいダストは破壊されること無く星間空間に放出されるが、よりサイズの小さいダストは超新星残骸中で完全に破壊されるかフォワード衝撃波後面に形成された高密度のガス殻にトラップされる。星間空間のガス密度と爆発のエネルギーに応じて、形成されたダストの20%-100%がリヴァース衝撃波により破壊される。また、計算結果に基づいて第2世代星で観測される重元素存在量の推定を行った。これらの結果はNozawa et al.(2007)として現在Astrophysical Journalに投稿中である。 (2)Cas A 超新星残骸中のダスト Spitzer天文衛星によるCasA超新星残骸の観測チームのメンバーとして観測結果の解釈を担当し、残骸中のガスの輝線およびダスト起源の赤外スペクトルの解析から、CasA超新星残骸中でのダストの組成および存在するダスト量を明らかにした。これらの成果の一部は学術論文としては発表され(Eniss et al.,2006)、より詳細な論文はRho et al.(2007)として現在Astrophysical Journalに投稿中である。 (3)宇宙初期で形成されたダストの宇宙背景輻射に及ぼす効果の研究 標準宇宙モデルのもとでone zone closed box modelを用いて宇宙初期から現在に至るダスト進化モデルを構築して宇宙初期に形成されたダストの熱輻射量の計算を行い、宇宙初期の宇宙空間に存在するダスト量は形成量の10%程度以下であるか星形成率がSpringel(2003)の推定値の10%程度以下であれば、COBEで観測された宇宙背景輻射の揺らぎの上限値を再現できることを示した。これらの成果は投稿論文として準備中である。
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Research Products
(6 results)