2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速測光システムで探るブラックホール短時間変動の起源
Project/Area Number |
16340057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70229780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 大作 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (20332728)
沖田 喜一 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム系, 助教授 (60204096)
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Keywords | ブラックホール / 粒子加速 / 非熱的粒子 / 高速測光 / CCDカメラ / 磁場 / シンクロトロン放射 / 自己組織化臨界 |
Research Abstract |
ブラックホール天体からの放射は激しい時間変動を示す。本研究課題は連星系ブラックホールからの可視光を0.1秒以下の時間分解能で観測し、その時間変動の起源を明らかにしようとするものである。今年度は、テスト観測にひきつづき本観測を実行し、並行して短時間変動の理論的研究を行い以下の結果を得た。(1)高速測光観測:昨年度購入した高速測光用CCDカメラを広島大学付属東広島天文台の150cm望遠鏡に取り付け、ブラックホール連星であるはくちょう座X-1を高速測光観測した。(2)新しいゆらぎのモデル:自己組織化臨界の概念に基づく、ブラックホール放射ゆらぎのモデルを、新しく磁場の誘導方程式をもとにつくりあげ、計算を進めたところ、観測の光度曲線の形、バワースペクトルの形、対数正規分布のフラックス分布の全てを同時に再現することに成功した。これはまさに、磁気リコネクションに件うフレアがゆらぎの原因であることを強く示す結果である。(3)磁気流体降着流構造の研究:磁気タワージェットの放射スペクトルを新しく非熱的電子からの放射を考慮して計算し観測スペクトルをほぼ再現した。またその時問変動特性も調べた。(4)超臨界降着流の放射流体力学シミュレーション:2005年度に実施した2次元軸対称放射流体力学シミュレーションデータをもとに、いかにして超臨界降着が可能になっているかを調べたところ、放射の非等方性および光子補足がともに効いていることを定量的に示すことができた。
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